理事ノート(2005年7月25日)

理事ノート(2005年7月25日)

本間 政雄

米国出張と大学マネジメント

6月上旬と7月中旬に、それぞれ2泊、3泊と駆け足ではあったが、米国に行ってきた。6月は、カリフォルニア大学デービス校と事務職員の相互交流協定を調印するとともに、京大から派遣する職員のインターンシップの場となるEAP(Education Abroad Program:海外留学支援オフィス)や研究者・外国留学生受け入れ支援オフィスなどを視察し、意見交換を行ってきた。

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7月は、首都ワシントンD.C.に赴き、AGB(Association of Governing Board:全米理事会協会)と、米国大学(州立、私立)の運営の中核である理事会(Board of Trustees)の機能、理事会を中心とした経営戦略の立案プロセス、CEOとしての学長の業績評価の方法、さらに理事会がリードする寄付金獲得戦略(Fund Raising)などについて意見交換してきた。こちらは単独ではなく、東大、東工大、金沢大学、早稲田大学、学習院大学、京都産業大学、大阪医大など13大学の財務、経営担当の理事、幹部事務職員などと一緒であった。

非常勤の理事で構成する理事会が経営、財務、幹部人事、教育、研究全般について決定権限を持ち、学長は理事会が全米、一流大学になれば全世界から公募し、任命されること、学長は理事会の指示を受けてCEO(最高経営責任者)として、副学長、部局長、部長級の幹部職員を任命し、大学運営の実務に当たること、学長職の責任はきわめて大きく、報酬もそれにふさわしいものであること(平均40万ドル、ハーバード大学クラスになると百万ドルも珍しくない)・・・などいろいろ参考になった。久しぶりに1日8時間も英語を聞き、英語で話したので、少々疲れたが・・・。

ワシントンD.C.には日曜の昼過ぎに着いたので、20年ぶりにホワイト・ハウスやスミソニアン・インスティテュート近くを散策したり、国立美術館でイタリア、ルネサンスの画家や、フランス、スペインの近代絵画を鑑賞した。ホテル(メイフラワー)の近くのもう何十年も続いているイタリアン・レストランにふらりと入って、具たっぷりの蟹入りパスタをカリフォルニアの白ワインと楽しんだりした。この街では珍しい34度の暑い日で、あちこちにある小公園では市民が思い思いに日曜の午後を楽しんでいた。この前この街に来たのは厳冬の時期、「日米科学技術摩擦」に関わる国務省、通商代表部、エネルギー省などの代表とのマラソン交渉のためだったなあと懐かしかった。

ところで、AGBのオフィスの入っているデュポン・サークルのビルは「高等教育ビル」と名づけられ、様々な高等教育関係の全国団体が入居している。ビルの入り口にある入居団体のリストを見ると、よくこんなに多くの全国組織があるものだと感心したが、大学、コミュニティ・カレッジなど組織単位の団体のほか、カウンセラーなど専門職の全国組織もあった。英国にもAUA(Association of University Administrators:全国大学アドミニストレーター協会)があり、6千名の会員を擁している。私も、この4月に「国立大学マネジメント研究会」を設立したが、AUAを意識したものであった。私立大学の事務職員の組織としては「大学行政管理学会」があり、約千名の会員を集めている。「研究会」には、今のところ200名ほどの個人会員の申し込みがあり、7月末には月刊誌第1号が刊行されるので今後入会者が増えることを願っている。なお、7月30日には「研究会」設立記念シンポジウムが開催され(東京神田一ツ橋の如水会館で午後3時半から6時まで)、元文部大臣有馬先生(「研究会」顧問)の講演もあり、またシンポ後7時半まで交流会もあるので、興味のある方はぜひ参加していただきたい。(申し込みは、国立大学マネジメント研究会(外部リンク)まで)