[2004年4月1日~7月14日迄掲載分]
本間理事からのメッセージ
いよいよ4月1日を迎え、京都大学は国の機関から国立大学法人として新たなスタートを切った。ぎりぎりまで労働者過半数代表者との労使協定を巡る協議をはじめ、16年度の人件費配分とりわけ附属病院の看護師暫定定数や法人化により増加が見込まれる超過勤務手当の配分、職員の定期人事異動案の作成、経営協議会など新たな運営組織の動かし方など懸案事項、積み残し事項についてあわただしく決定してきた。色々考えて準備をしてきたものの、法人化後予想しなかった事態や規則の不整合などが起きてくるのではないかと覚悟をしている。
また、教職員にとって最も関心の高い就業規則については、関連のWGでの審議が遅れたため、労働者過半数代表者への案の提示が3月中旬というぎりぎりの段階になってしまったことについては人事担当理事としてこの場を借りてお詫びをしたいと思う。
ともあれ「総務・人事・広報担当理事」として所掌の事項はもちろん特命事項として「事務総合調整」「事務合理化」「電子事務局」を命じられているので、非常に困難で重い課題ばかりであるが、京都大学の発展のために全力を尽くしたいと考えている。なお、他の5人の常勤理事、産学官連携担当の松重和美教授(国際融合創造センター長)、全学共通教育推進機構長の丸山理学部教授とともに副学長を拝命した。伝統ある京都大学で、事務職員出身者が理事はともかく副学長に任命されることの意義は大きいと思う。数年前に法人化に向けての議論を始めた頃、事務系職員が副学長はもちろん役員に加わることについてすら論外という空気があったことからすれば、隔世の感がする。このことで京大はもちろん全国の国立大学の事務系職員にとって刺激になり、励みになってくれればと思う。
ところで、京大は4月1日のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙の全世界版に4分の3の紙面を使って広告を打った。「黄金の国ジパング」をイメージした古文書に、英語を縦書きで並べるという意表をつくスタイルを用い、「京大では違った視点をもつことができる」("Kyoto University turns higher education on its ear")というコピーを並べた。また、今昔物語集から取ってきた字体で「京都大学」という文字を置き、五山送り火の大文字を背景に浮かび上がる時計台の写真を掲載した。
京大は日本では有数の大学としてブランド・イメージは確立している。しかし、世界的に見るとまだまだ無名の大学といわざるを得ない。こうしたグローバルなメディアを活用して、今後とも訴求対象を各界のリーダー層に絞って京都大学のイメージをアピールしていくことが必要だと思う。今回のことは、3月30日付の朝日新聞の全国版にかなり大きく紹介された(「目標:世界のKYODAI」、京大、国際紙に広告)ので、国際、国内と二重の意味でアピールできたのではないかと思う。ちなみに、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンの発行部数は24万部である。
この他、「変わる京大」という広報資料が完成した。これは、「独創的で優秀な研究者と才能ある学生が集まって、世界的な業績を上げているが、敷居の高い孤高の学府、象牙の塔」という京大のイメージを、それだけでなく教育、研究、国際交流、医療、新キャンパス、社会連携、開かれた大学づくりなどの面でも積極的に前向きに取り組んでいることを広く社会にアピールし、京大への理解を深めようという狙いで1年ほど前から準備を重ねてきたものである。是非一度目を通していただき、ご意見をいただきたいと思う。
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