本間 政雄
職員採用試験を終えて
5月23日に行われた初の国立大学法人等職員統一採用試験第一次試験の合格者の発表が6月30日に行われ、近畿地区では約5,500名の受験者に対し840名が合格した。京都大学では同日から面接希望者の受付を行い、これまでに約230名の面接を行った。面接に先立ち、「大学で入試ミスが起きるのは何故か」「大学の国際化には何が必要か」といった小論文を15分で書かせ、文章力、コミュニケーション力を見た上で、課長クラスによる1次面接を行い、ここで最終面接に進む者の選抜を行った。その際、採用面接シートに資格、特技など一般的な事項の他、大学でどのような仕事を希望するのか、そしてその理由は何かを記述してもらい、面接の参考にした。最終面接は私と人事部長の他、平井総長特別顧問、東山副学長、人事課長他の職員にも適宜加わってもらった。
京大では、国家公務員、地方公務員との併願者が多いことも考慮し、最終的に採用予定を上回る数の内定通知を出した。採用内定者は、立命館大学、同志社大学、関西学院大学といった関西の有力私立大学出身者が多いが、京都大学、神戸大学、大阪外国語大学などの国立大学出身者もかなりいる。特に京大出身者が4名(うち大学院出身者2名)というのは、これまでなかった現象である。大学院出身者も2名いるし、TOEICで700点以上をとっている者が2名、中国語が得意という者もいる。民間企業経験者も半数以上おり、即戦力になることが期待される。また、現に京大で時間雇用職員として勤務する女性も内定が決まった。男女比では、ほぼ半々である。
週末も含めほぼ1週間にわたりぶっ続けで約50名の面接を行って感じたことは、京大のホーム・ページや職員採用パンフレット、6月7・8・9日に行った大学訪問、業務説明、職場見学などを通じて「京大の職員になりたい、大学改革に一緒に取り組みたい」という明確な意志を持った職員が数多く来てくれたことである。私は、業務説明会の最初の二日間、1時間半近く国立大学の置かれている状況、京大の進むべき方向、その中で職員に何が期待されているかなどについて熱弁をふるったが、最終面接に来た人たちの少なからぬ数の人たちが「本間さんの話を聞いてこの大学で働きたいと思った」と述べていたのが印象的である。彼らに少しでも面接での印象をよくしたいという気持ちもなかったわけではないだろうが、それでも多忙な時間を割いて彼らに京大で働く意義を直接訴えかけた甲斐があったと素直に嬉しかった。
課題は、彼らの期待を裏切らないような職場づくり、人事制度の改革を行うことである。教員と対等な立場で専門性を発揮して教育研究、医療活動を支援する、財務や人事、広報などのマネジメント業務を専門的に支援する・・そういう事務体制には残念ながらいまだほど遠いのが実情である。新人研修や職場への受け入れ体制も従来のままで極めて不十分である。今年採用の職員の新人研修はわずか4日間、民間企業の多くが最低でも3ヶ月間程度の研修を行っているのに比べるとあまりにもお粗末であった。職場への配置も、一人一人の個性、能力、希望を考えて慎重に行わなければならない。場合によっては、最初から1か所の職場に固定的に配置して2年も3年も置いておくのではなく、月単位のローテーションで部局や事務本部、隔地にある研究所など色々な職場を体験させることも過去の採用者にさかのぼって検討しなくてはならないだろう。ローテーション勤務を行うことも検討の俎上に上ることになろう。
いずれにしても、法人化後の職員一期生の顔ぶれが輪郭を現した。彼らを育て、京大を支える柱に成長させていかなくてはならないと思う。
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