理事ノート(2004年5月27日)

理事ノート(2004年5月27日)

本間 政雄

図書館「メディア・コモン」完成!

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5月26日午前10時半、附属図書館の3階に待望のメディア・スペースが誕生した。広さ240平米のスペースに、DVDやビデオ・カセットが見られる4人用個人ブースが4つ、窓越しに法経本館や時計台、遠くには吉田山を見ながらカセットやCDを聞くことのできる二人用ソファが4つ、DVDで映画などを50インチの大型プラズマ・ディスプレイ画面で迫力ある映像を楽しむことのできる4人用AVコーナーが2箇所、さらに10人が入ることのできるメディア・シアター(防音装置付き)などがゆったりとした空間に配置されている。

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このスペースは「メディア・コモン」と名づけられ、学生、教職員が読書や勉強で疲れた頭を音楽や映像で癒し、リフレッシュするための場所として構想され、このたび実現を見たものである。京大文学部卒業で故片田清氏所蔵のCDコレクション4,870枚のほか、約250点のDVD(映画、ドキュメンタリー、音楽)、約760点のビデオ(ドキュメンタリー、言語)などが置かれている。利用時間は、平日9時から21時、土日祝日が10時から16時までとなっている。


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そもそも、このメディア・スペースは、私が京大赴任直後に附属図書館を視察した際、構想を抱き、図書館事務部に財源の目途がつき次第改修にかかれるよう具体的な計画を作るよう指示しておいたものである。昨年12月に尾池和夫副学長が京大総長に就任された際、前任の長尾総長が後任総長のために残しておかれた総長裁量経費の相当部分を投入して建設にかかることを決断していただき、着想以来3年を経て今回実現の運びとなったものであり、発案者として本当にうれしい。

私は、外国の大学を見るとき、必ず図書館を見せていただくことにしているが、それは図書館は大学のいわば心臓部であり、図書館を見ればその大学の理念や将来が透けて見えるからである。その意味で、私が3年前に見た京大図書館には不満が残った。今回のメディア・スペースの場所になった個人研究室は無味乾燥な息苦しいスペースで、想像通りほとんど利用されていないし、AVブースと銘打った部屋も狭隘でCDもおざなりに百枚程度置かれているだけであった。展示室は1年に1ヶ月程度開かれる特別展示に使われているだけで、残りの期間は物置に使われていた。この展示室は、1年がかりで図書館事務部を説得し、「コンピュータ・スペース」として改修したものの、メディア・スペースのほうは予算の問題もありなかなか構想が実現しなかったのである。

たまたまある会食の席で、産学協同を通じてさまざまな企業とつながりのある国際融合創造センター長の松重和美教授とご一緒し、この構想を話したところ、DVDやAV機器、プラズマ・ディスプレイで業績好調のパイオニア(株)が興味を示すかもしれない、という示唆があった。同席していた尾池総長の了解をいただき、松重先生、図書館大埜事務部長に同道して東京・目黒のパイオニア本社に赴き、幹部に会って構想を説明し、理解と協力を求めた。幸い、あまり知名度のない関西の、それも京大の年間延べ72万人が訪れる図書館に同社の最新製品を展示できるということで、協力について快諾してもらうことができ、今回の4台のプラズマ・ディスプレイを寄付していただくことができたのである。

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スペースの改修には施設・環境部上坂建築課長とスタッフの献身的な協力があり、低予算の中で快適なスペースを設計してもらったし、それで余裕のできたお金で少しはソフトをそろえることもできた。このスペースは、すべて透明なガラス壁にし、ガラスには「メディア・コモン」のロゴがアクセントをつけているが、これは附属図書館長坂情報サービス課長とスタッフの手作りロゴである。

私のアイデア、尾池総長の強力なバック・アップ、パイオニア(株)の社会貢献、それに事務スタッフの心意気がうまくかみ合っての国立大学屈指、最先端をいくメディア・スペースの誕生である。これで学生や教職員が京大に来て本当によかった、と思うことのできるスペースがもう一つできた。