理事ノート(2004年4月23日)2

理事ノート(2004年4月23日)2

本間 政雄

第1回京都大学未来フォーラムについて

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司会の松本助教授

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挨拶する尾池総長

4月19日午後6時過ぎ、新装成った百周年時計台記念館大ホールで、第1回京都大学未来フォーラムが、弁護士でNGO「気候ネットワーク」代表の浅岡美恵氏(1970年法学部卒業)を招いて開催された。

「京都大学未来フォーラム」は、時計台の改修を機に、「社会とのインターフェースの場」、「学問の垣根を越えた学内交流の場」として新たなスタートを切ったことを記念して、各界で活躍する京都大学のOB、OGを招いて「旬の話題」を聞こうという企画である。

当日は、地球環境学堂の松本泰子助教授の司会で始まり、まず尾池和夫総長が挨拶に立った。総長として降りしきる雨の中多くの方に参会していただいたお礼を述べるとともに、地球物理学者としては45億年前から今日に至る京都盆地の地形や環境の変遷に思いを馳せつつ、地球環境保全の必要性に言及した。

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講演する浅岡氏

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質問に答える浅岡氏

浅岡氏の講演は、弁護士になってすぐ、全国2万人にも及ぶ被害者を出したスモン病訴訟に関わり、自分と同年代の若者が薬害により亡くなっていったことに衝撃を受け、その後の弁護士としての活動あり方が決まったこと、その後水俣病訴訟に関わったことなどにまず触れた。そして、1997年に京都で開かれた地球温暖化会議にボランティアとして参加したことがきっかけとなって、NGO「気候ネットワーク」を立ち上げたこと、さらに地球環境をはじめ日本の未来を主体的に市民が選び取るためにNGOはどうあるべきか、その中で市民参加の形はどうあるべきかにまで話が及んだ。

講演後、会場の参加者と浅岡氏との間で30分以上にわたり活発な質疑応答が交わされた。それらは、NGOの活動への京大生を含む若者の参加状況と彼らの意識はどうか(200人以上の若者が参加しており、活動を通じて大きく成長している)、職業としてのNGO職員が可能になるために何が必要か(幅広い市民の参加と支援がそれを可能にする)、平凡な一般市民がどのようにNGOに関わることができるのか(意識の高い一人の力が大きなネットワークに広がる)、弁護士と家庭とNGOの活動をどのように両立させているか(3つは相互に関連している、弁護士もNGOも自分には必要)といった質問であった。

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会場の様子

第1回ということもあり、また悪天候や参加申し込み手続きなどの問題もあり、参加者こそ会場の半分ほどであったが、そうしたことを補って余りある熱気に満ちたフォーラムであった。