本間 政雄
人事制度改革、事務合理化・効率化、事務組織の再編成、電子事務局の構築
11月1日付けで、総務課に「事務改革推進室」、広報課に「全学同窓会準備室」、研究協力課に「産学官連携推進室」、情報環境部・企画管理課に「電子事務局推進室」をそれぞれ設置する。さらに、企画課に職員を1名増員する。これらはすべて既存の定員を活用して設置したもので、人件費増には結びつかない。各室の室長は、関係課の課長や補佐・専門員が兼任し、室員も大部分が兼任で専任職員は「電子事務局推進室」を除き1名に過ぎない。(「電子事務局推進室」は財務部、施設・環境部、学生部の協力により、4名の専任職員を確保)
それだけの体制で大きな看板を掲げたものだと笑われるかもしれないが、仕事の進行状況を見ながら、徐々に増員を含め体制固めを図っていきたい。これらの室はいずれも京大の将来に関わる重要な役割を担うが、中でも「事務改革推進室」の仕事はとりわけ重要である。
周知の通り、京大は2004・2005年度各30名計60名の事務職員(技術職員、図書系職員を含む)の削減を行うことが既に決まっているが、2006年度以降も効率化係数(事務職員の人件費に換算して毎年約1億円)に対応するため、一定数の削減を行わなければならない。
こういう状況の下で、今後は従来より少ない数の職員で、かねてから進んでいる教育研究、医療支援業務の高度化・複雑化に対応するとともに、法人化後格段に責任が重くなった大学の企画・評価分析・財務・人事・施設・情報環境などの運営業務を効率的、効果的に展開していかなくてはならない。そのためには職員一人一人の能力を高めるとともに、限られた数の職員を効率的・効果的に配置し、事務組織・手続きの簡素化を行うことが絶対に必要である。職員の人事制度改革の方は、検討会での議論を踏まえ、実施できるところから逐次実現しており、めどが立ちつつあるいるが、事務改革はまだほとんど進んでいない。
今後「事務改革推進室」を中心にいくつかのプロジェクト・チームを発足させ、無駄な業務の見直し・廃止、定型的業務の外部委託や一元化・集約化、事務組織の抜本的見直しによる機動的で効率的な組織への再編成、さらに業務の優先度の変化に応じた人員の再配置に関する改革案をまとめる作業に入ることになる。検討の過程では平井総長特別顧問や経験の深い専門の方々、さらには企業の業務・組織改革に詳しいシンク・タンクなどの助言、助力を仰ぐ場面も出てくるであろうが、改革案を考える主体はあくまで京大自身である。他人任せにする気は全くない。なぜならシンク・タンクにしろ何にしろ他人が考えたことでは、主体的に自らのこととして取り組もうという気が起こらないのが人間の常であるからである。多くの国立大学附属病院で経営改革案を外部の組織に任せて作ってもらったものの多くが店晒し(たなざらし)になっているのがそのいい見本である。
全学同窓会については、既存の学部別(学科別)、地域別の同窓会をベースにし、これらを統合するというのではなく、連携・連合の形での組織化を考えていくことになろう。今回はあくまで「準備室」の設置であり、他の私立、国立大学の例、諸外国の例などを調べ、OB・OG、同窓会や部局長、学生などの意見を幅広く聞きながら構想を固めていきたい。いずれにしても基本は、卒業生と大学との絆をしっかり作っていこうということであると思う。そのためには京大を巣立つとき、京大の学生で本当に良かったという思いを全学生に持ってもらうような大学作りが必要である。
「電子事務局推進室」は、大学全体の業務、システムの電子化を一体的に推進するための支援組織であり、当面専任職員4名体制で発足する。事務の合理化、効率化に大きく貢献することが期待される。16年度は室員に集中的に3ヶ月間情報技術研修を行い、電子事務局構築の核となる職員を養成しつつ、ベースとなる個人認証システムの調査・開発、グループウエアの拡張を行い、中期計画期間中での一応の完成を目指す。すでに総長裁量経費などによる予算措置のめどもついている。
「産官学連携推進室」は、近い将来「課」への昇格を視野に置き、当面急増する関連業務を行う。例えば設置数で東大に大きく水をあけられた寄附講座、寄附部門(東大42、阪大13に対し京大9)の受入れや、企業や自治体との関係強化をめざす。
いずれにしても、人事制度改革、事務改革、電子事務局構築は相互に関連しており、私はどの一つが欠けても効果が上がらない「三位一体改革」と位置づけている。組織はできたが開店休業ということにならないよう努力していきたいと思う。
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