1. 柔軟かつダイナミックな体制による知の創造
研究力強化/国際協働 | 最先端研究の推進 | 再生医療と先端医学研究 |
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化学と生命科学の融合( iCeMS ) | 研究拠点(WPIアカデミー拠点 iCeMS )及び連携研究拠点等において、次のような国際的な最先端研究を展開した。
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高等研究院 | 世界トップレベル研究拠点プログラム を実施し、多分野融合研究によりヒトの設計原理を解明して新しい生命科学及び医学の基盤を形成することを目的とし、 「ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi)」 を研究拠点として新たに設置した(平成30年10月)。 高等研究院 に、研究拠点を設置し、国際的な最先端研究を展開するとともに、これまでの取組状況について検証する。また、iPS細胞及びiPS細胞技術を利用する医療・創薬の早期実用化に向けた研究を推進するとともに、iPS細胞研究の裾野拡大を図ることを目的に、研究者・技術者を育成し、iPS細胞技術を普及させる。 |
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On-site Laboratory | On-site Laboratory 事業に関し、学内での議論を踏まえて平成30年12月に制度化し、同月に学内公募、審査を経て「IFOM-KU国際共同ラボ」「京都大学サンディエゴ研究施設」「スマート材料研究センター」「京都大学-清華大学環境技術共同研究・教育センター」「Mahidol環境学教育・研究拠点」の 5件をOn-site Laboratoryとして認定 するとともに、平成31年2月にOn-site Laboratoryの運営支援にあたる対応窓口を 国際戦略本部 に設置し、関係部局からキックオフ・シンポジウム開催にかかる学内連携の方策、現地運営にかかる照会等を受け、円滑な運営にかかる支援を開始した。今後、海外機関等と活発な研究交流を行い、世界をリードする最先端研究を推進するとともに、優秀な外国人留学生の獲得、産業界との連携の強化等、大学への波及効果が見込める様々な取組の実現を目指す。 |
2. 高度で多様な頭脳循環の形成
人材獲得 ・育成/国際化 | 若手研究者 | 白眉プロジェクト | 白眉プロジェクト の構成を見直し、従前の白眉プロジェクトを踏襲した【グローバル型】に加え、 文部科学省「卓越研究員事業」 を活用した【部局連携型(テニュアトラック型)】による募集を平成28年度から新たに行い、テニュアトラック制による若手研究者採用のスキームを確立した。平成30年度は、【グローバル型】については、362名の応募(うち海外から98名)があり、13名(准教授7名(うち海外から2名)、助教6名(うち海外から0名))の採用を決定した。また、【部局連携型(テニュアトラック型)】については、本学から4ポストを提示し、1名(助教1名)を採用した。 同プロジェクトの研究者は、本学の独創的かつ最先端の学術研究を基礎とする研究環境で自由闊達で独創的な発想に基づく挑戦的な課題研究に取り組むことにより、科学研究費補助金若手研究(A)の採択率が全国平均に比べ高く、論文等の研究成果においても、Elsevier社が「異分野の研究機関の発表論文の質を公平に比較する」目的から新たに考案した指標Field Weighted Citation Impact(FWCI)では、平均1.43(2017年)となるなど成果面でも高い実績を誇っている。 同プロジェクトの平成30年度修了者の46%が内外の大学や研究機関でテニュアやテニュア・トラックのポストに就いており、本学から国内外に優秀な若手研究者を輩出することに貢献している。 研究者採用累計数:154名 |
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優秀な若手教員獲得・育成 | 若手教員ポストの拡充の取組の一つであり、本学における適正な教員年齢構成の実現を目指す優れた取組への支援策である若手重点戦略定員事業に関し、平成30年度中に制度設計を終え、学内公募、審査を経て、平成31年3月に平成31年4月1日付け40名分の定員の措置を決定した。本定員の活用にあたっては、ポイント制の考え方を導入するなど、各部局において、他の財源等と組み合わせることによる教員の柔軟な雇用を可能としており、今後、40名を超えるより多くの若手教員の雇用を見込んでいる。若手教員ポストの拡充については、当初第3期中期目標期間内に制度設計を行い、第4期中期目標期間中に定員内若手教員割合を増加させることを目標としていたが、若手重点戦略定員事業の開始により、当初想定していたよりも前倒しで計画が進捗している。 なお、本学は指定国立大学法人構想で第4期中期目標期間内に定員内若手教員比率を30% に引き上げることを目標としているが、平成30年度末時点の若手教員比率は約18%に留まっている。引き続き、若手重点戦略定員事業等を活用し、若手教員の雇用拡大を図っていく。 |
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学生 | |||
吉田カレッジ( Kyoto University International Undergraduate Program(Kyoto iUP) ) | ASEAN6カ国(タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン)をはじめ、台湾、香港、シンガポールへもリクルーティングチームを派遣。高校、大学、教育行政機関、大使館、同窓会などを訪問し関係構築に向けた取組を進めた。特に高校はトップレベルの計44校(9ヶ国)を訪問し、個別説明会、合同留学フェアなどにより Kyoto iUP の広報活動を着実に推進した。また、インドネシア、フィリピンに続き、タイの高校2校とも招聘プログラムを実施(11月3日~9日)するなど、双方向のネットワークが強化されるとともに、 Kyoto iUP の認知・関心が確実に高まった。 本学OBを多数輩出し歴史的な繋がりが深く、現地同窓会(台湾京都大学同窓会)の積極的な後押しを得られる台湾については、10月13日~19日まで"7 Days in Taiwan"を実施し、総長、理事、副学長など35名の教職員が参加して留学フェアや台北、台中、台南、高雄のトップ10校への訪問・説明会などを行い、留学フェアは110名、高校訪問は合計約350名と多数の参加者を得ることができた。 上記のとおり広報活動を積極的に行ったことにより、第3期(平成30年度に選抜)の志願者数は228名となり、第2期(平成29年度に選抜、平成30年10月から本学にて予備教育実施)の志願者数33名から大幅に増加した。 |
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卓越大学院プログラム | 平成30年10月に 卓越大学院プログラム として 「先端光・電子デバイス創成学」 が採択された。同プログラムでは、光・電子デバイス分野を中心とし、その基礎物理・理論の深化からシステム・情報の制御・応用にまたがる融合・垂直統合型の教育を推進することを目的にしている。また、我が国を代表する民間企業、最高水準の研究力を有する国公立研究所、トップクラスの海外有力大学との連携や、グローバルスタンダードでの教育と質保証を組織的に実施し、平成31年4月から学生を受け入れ、先端光・電子デバイス学を創成する国際的な知のプロフェッショナルを、5年一貫の博士課程学位プログラムにより育成することを目指す(平成31年4月19名受入)。 | ||
大学院共通・横断教育基盤 | 平成30年度から 国際高等教育院 において、大学院学生を対象に、専門以外に素養として備えておくべき知識・技能の教授を目的として、 大学院共通科目群及び大学院横断教育科目群 を開講した。 大学院共通科目群 は、大学院レベルの全学共通的な教育を充実させるため、専門学術以外にも素養として備えておくべき共通基盤科目として、社会適合分野8科目、情報テクノサイエンス分野6科目及びコミュニケーション分野17科目を開講し、計697名の大学院生が履修した。 大学院横断教育科目群 は、各研究科が開講する大学院科目のうち、 博士課程教育リーディングプログラム を踏まえて設計されたものを含め、他研究科学生の履修にも配慮した横断的な科目を本群科目として89科目開講し、353名の大学院生が履修した。 また、教養・共通教育から学部・大学院の専門教育までを通じた情報・統計・数理の全学的教育基盤を整備するために国際高等教育院に設置した附属 データ科学イノベーション教育研究センター が中心となり、研究科の協力のもと、教養・共通教育ではデータ科学分野で13科目(うち4科目は日本語授業に対応する英語授業)開講し、1,903名の履修登録者があった。また大学院共通・横断教育として5科目開講し、107名の履修登録者があった。 次年度開講に向けた活動として、平成30年度の履修状況やアンケート回答状況等を踏まえ、国際高等教育院大学院共通・横断教育基盤各分野別部会において検証を行い、基本的に平成30年度と同様の方針で実施することとしたが、大学院共通科目「研究倫理・研究公正」について、平成30年8月に研究公正委員会において『研究公正推進アクションプラン』が改正され、「研究倫理・研究公正」を修了している場合対面チュートリアルを免除することとなったことを踏まえ、履修者増に対応するべく実施方法等検討を行い、グループワークの日数を増やすなどで対応することとした。また、データ科学関係においては、特に大学院共通科目群の科目を拡充することとした(3科目)。 |
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GSTセンター | 大学院生の教育研究能力向上のための研修を行う、GSTセンター(仮称)の設置に向けて、戦略調整会議の下に設置したGSTセンター小委員会において、大学院生の教育活動への活用についての検討を行った(平成30年5月24日)。これを受けて、教育制度委員会と連携して、TA経験者、教員、部局長を対象として本学のTA制度の運用状況及びTA研修の実施状況に関するアンケート調査を実施した。アンケート調査結果からは、分野を問わず教育に携わる者に求められる基礎的な知識に関する研修に対するニーズが確認できたことから、引き続き、GSTセンター及び同センターにおいて実施するトレーニングプログラムの設計に係る検討を進めた(平成31年3月14日)。 | ||
留学生リクルーティングオフィス | 留学生リクルーティングオフィス(仮称)の設置に向けて、戦略調整会議の下に設置した留学生リクルーティングオフィス小委員会において、外国人留学生の獲得に向けた全学的支援サービスに関する調査を行い、その備えるべき機能を確認し、オフィスの制度設計を行った(平成30年11月21日)。その結果、平成31年4月に 国際戦略本部 の下に「国際アドミッション支援オフィス」を設置した。また、国際戦略本部においてリクルーティング戦略を立案した上で、外国人留学生誘致等の体制・機能の整備を引き続き進めることとなった。 | ||
大学院生・留学生への施策 |
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3. 新たな社会貢献を目指して
社会との連携 | 社会への貢献 | 日本とASEANの相互発展 |
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人文・社会科学の未来形発信 |
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産官学連携 | |||
「京大モデル」構築 |
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「組織」対「組織」 | 戦略的な共同研究スキームを一層強化し、「組織」対「組織」の産官学連携を推進するため、平成28年度に課題探索型の「組織」対「組織」の包括連携共同研究契約を日立製作所と締結し、「ヒトと文化の理解に基づく基礎と学理の探究」を研究課題として、(1)人工知能(AI)、(2)2050年の大学と企業、(3)超電顕をサブテーマに設定し、株式会社日立製作所との協創によって未来の社会課題を洞察し、その課題解決と経済発展の両立に向けた新たなイノベーション創出への取組みを進めた。また、これらの共同研究を進めていくために、 産官学連携本部 に 「日立未来課題探索共同研究部門(日立京大ラボ)」 を設置するなど、本格的な産学連携を進める運営体制を構築し、平成30年度においても連携体制を継続し、両者間で課題探索のための協議等を実施して、これらにより、 Society 5.0に向けた応用哲学・倫理学の産学共同研究等の個別共同研究を実施した(平成30年度の実績7件)。 |
4. 世界に伍する京大流大学運営
ガバナンス強化/財務基盤強化 | 財務基盤 | 自己収入の拡大 |
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京大収益事業 | 「(4)社会との連携」の取組1.「「京大モデル」の構築」において記載したとおり、 京大オリジナル株式会社を平成30年6月に設立 し、コンサルティング事業、研修・講習事業等を実施することが可能となった。この 京大オリジナル株式会社 と、すでに本学の出資を受け運営している 「京都大学イノベーションキャピタル株式会社」 及び「 関西ティー・エル・オー株式会社(令和元年10月に株式会社TLO京都へ名称変更) 」とを有機的に連携させ、研究成果・知的財産の活用促進に向けた産官学連携の新しい「京大モデル」構築を進め、京大収益事業を展開している。 | ||
ガバナンス | |||
京大版プロボストと企画調整会議 | 総長からプロボストに対して要請された「指定国立大学法人構想に掲げた各種施策の実行に向けた検討」に関して、プロボストを議長とする戦略調整会議の下に置かれた各小委員会において、前年度から引き続き「若手教員ポストの拡充施策」、「 On-site Laboratory の設置」、「「GST(Graduate Student Training)センター(仮称)」の設置」、「「留学生リクルーティングオフィス(仮称)」の設置」、「人文・社会科学の未来形発信」、「政府への要望(授業料設定の柔軟化)」について議論するとともに、平成30年度は新たに「教員の業績評価」について議論を開始した。 上記のとおり各小委員会において意欲的に議論が積み重ねられた結果(平成30年度の各小委員会の開催総回数:30回)、平成30年度においては、若手教員ポストの拡充の取組の一つである若手重点戦略定員事業の制度化、海外の大学や研究機関等との現地運営型研究室である On-site Laboratoryの設置 、人文・社会科学分野に係る発信事業を実働的に担う 人社未来形発信ユニット の設置に繋がった。プロボスト及び戦略調整会議が有効に機能し、 指定国立大学法人構想 に掲げた施策が着実に進捗している。 |
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エビデンスベースの大学運営 | 【リサーチ・アドミニストレーター(URA)組織によるエビデンスベースの大学運営の推進】 平成28年度にURAの所属を 学術研究支援室 (研究担当理事の下で研究プロジェクトの企画・運営・研究成果の社会還元を支援する組織)に一元化したことにより、これ以降、全学を俯瞰する分析力が向上し、大学の今後の方向性に係る判断を支援する分析情報を役員へ提供すること等による大学の経営マネジメント強化への貢献が拡大した(平成30年度87件提供)。さらに、4名のURAが 指定国立大学法人構想 に基づき設置されたプロボストオフィスにメンバーとして参画し、研究IRを担当するURA、国際グループURA等と協働して、プロボストが行う活動に必要な調査や情報の収集・提供を行っている。 【戦略策定に資する調査の実施及び分析情報の提供等による担当部課における戦略実施の支援(IRに関する取組)】
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