監事ノート(2)(2005年3月10日〜2005年7月4日掲載)

監事ノート(2)(2005年3月10日〜2005年7月4日掲載)

原 潔

カリフォルニア大学監査システム調査出張報告

  1. 調査目的 カリフォルニア大学における監査システム調査のため
  2. 旅行期間 平成17年2月15日~2月20日
  3. 訪問者 原(監事)、村田(財務課監査主査)、志水(総務課)
  4. 訪問先
    1. 2月16日 UCOP (University of California, Office of the President) (1000-1630)
      UCOPの監査担当部長ら3名と相互の監査システムを紹介後に質疑応答と意見交換を行った。また、人事、学務、財務についてもAssistant Vice Presidentレベルの担当者と質疑応答及び意見交換を行った。
    2. 2月17日 UC Berkeley (1000-1500)
      監査ディレクター及び副ディレクターと、相互の監査システムを紹介後に質疑応答と意見交換を行い、その後学生寮等キャンパスを見学した。
    3. 2月18日 UC Davis(1000-1700)
      京大・UC Davis教員遭難慰霊碑へ参拝、キャンパス見学後、監査ディレクターら3名と、相互の監査システムを紹介後に質疑応答と意見交換を行った。
  5. 調査事項と結果概要
    1. UCシステムの概要(ガバナンス、人事、学務、財務)
      カリフォルニア大学システムは、10キャンパス、教職員160,000名、学生200,000名を抱える巨大な研究型大学群である。最高決定機関である理事会は、州知事やPresident、教員、学生代表から構成されている。実際の大学運営責任者としてカリフォルニア大学Presidentがおり、各キャンパスにはChancellor(学長)がいる。大学経営の方針は、理事会(Board of Regents)のもとに、教育方針、財政、土地・施設、医療、投資、監査、国立研に関する委員会があり、運営方針が決定される。教育、研究、教員人事等は学術評議会で決定される。その方針の許容範囲の中で各キャンパスの自治がある。自治は人事、学務、財務等においてかなり広範囲で認められている。
    2. 内部監査システム
      カリフォルニア大学では、州や連邦政府による監査、外部の会社による会計監査があるが、主流は大学自身が行う内部監査である。UCOPではUniversity Auditor、各キャンパスではAudit Directorの下にAuditor達(計138人)がおり、内部監査システムを構築している。方法としては、まず、各キャンパスでリスクの洗い出しを行い、危険度に応じて点数をつけて次年度の監査項目・計画を策定する。Auditor達はその項目について監査を行い、四半期報告及び年次報告をChancellorとUniversity Auditorに提出し、University AuditorはPresidentと理事会に報告するしくみになっている。Auditor達は、いずれも監査業務関連した資格を持つ専門家であり、その熟練度によって4つのレベルに分類される。また、その他にITや病院経営等の専門知識を持つ特別なAuditorもいる。Auditorは、内部監査の他にコンサルティングや不正調査も行う。内部監査室のスタッフ数は、UC Berkley 9名、UC Davisで11名(現員)である。業務内容はHP(UC Office of the University Auditor(外部リンク))上で詳しく公開されている。
    3. 学生の大学経営への参加方法、学生支援の実状と関連施設見学
      • 各キャンパスにはStudent Unionと呼ばれる学生組合があり、そこで代表を選出してUC理事会を始め各キャンパスのおける学務、国際交流、財務等の学内委員会メンバーとなっており、学生の意思が大学経営に反映されるしくみになっている。参加する学生に対して、例えば理事会メンバーは授業料が免除されている。
      • Berkeley、Davisともに新入生に入寮の優先権を与えており、1年生の95%は学内の寮(約5,000人収容)に住んでいる。寮は、学部学生、大学院生、家族用のものがあるが、学部学生用の寮は1ベッドルームを数人でシェアし、懇談室や食堂は共用である。食堂は、入寮生以外も使用できる「学生食堂」である。現在も、両キャンパスともに、さらに数百人が住めるデザイン性のある寮や食堂を建設中である。生活費は寮費・食費(3食)を含めて月平均約千ドルとのことであった。寮内へは職員も入れない仕組みであった。
      • RA,TAだけでなく食堂や事務等にも両キャンパス共に週20時間以内を限度に5,000人規模で雇用している。キャンパス内で働くことを課外教育と位置づけている。

建設中の学生寮(Berkley)

学生寮(Davis)

Thompson Hall, Main Lounge

Alder Hall, Double Occupancy Room