京都大学メールマガジン Vol.62

京都大学メールマガジン Vol.62

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京都大学メールマガジン Vol.62
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目次:
◆巻頭言:情報環境機構長 美濃導彦
◆総長メッセージ「人々との出会い(6)」
◆修士課程1回生シリーズ/情報学研究科修士1回 石川惠理奈
◆大学の動き
◆研究成果
◆イベントのお知らせ
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◆巻頭言:情報環境機構長 美濃導彦

情報環境機構の役割

 情報環境機構は「教育・研究、学生支援、学術情報および知的財産の蓄積と活用、地域社会から国際社会までを視野に入れた広汎な社会貢献、さらには機能的な組織運営といった大学におけるあらゆる活動を支えるために必要な高い安全性、利便性を備えた先端的な情報環境を構築、運営すること」を目的として2005年4月1日に設立された。2011年度より、IT企画室に配置された業務を中心に行う教員と学術情報メディアセンターに所属する教員(業務支援を義務とする)、および事務本部の情報部から構成される組織となり、全学的な情報環境の企画、構築、運営、管理を行っている。

情報基盤:
 KUINSは、利便性と安全性を備えたネットワーク環境の構築を目指している。認証サービスを立ち上げ、学内からのアクセスだけでなく学外からも大学が提供する各種の情報サービスに自由にアクセスできる環境を整えている。同時に、スパムメールや外部からの攻撃、マシンの乗っ取りなどに対処する情報セキュリティ対策を実施している。

教育研究用情報環境:
 研究用情報環境として計算資源の統合を進めて学内にアカデミッククラウドを構築する計画を立てている。学内向けにバーチャルマシンの集合体を導入し、1台ごとに利用者に貸し出すサービス、ホームページをホスティングするHPサービス、全学メールサービスなどを展開し、学内に多数あるサーバ類を統合していく。教育用情報環境として、端末を設置した講義室だけでなく、国際的にも手軽に利用できる遠隔講義サービス、語学学習を支援するCALLシステム、教材作成を支援するコンテンツ作成サービスなどを展開している。

管理運営のための情報環境:
 現在は事務の各部署が独立したシステムを持っている。大学内の情報を一元的に管理していくために、今後はこれらのシステムを統合し全学的にITガバナンスを推進していく必要がある。その一環として、これまでの情報システムの考え方を大きく転換し、認証サービスを活用して、本部の要求と部局の要求、教員の要求すべてに対応する大学全体のデータベースとしての教員活動データベースを構築している。

 大学の情報環境は、教育研究活動を活性化するためにはなくてはならないものであり、今後とも構成員すべてにとって便利で安全な情報環境へと発展させていくつもりであるので、関係者の方々の積極的なご支援ご鞭撻を期待する次第である。


◆総長メッセージ「人々との出会い(6)」:松本紘

 これまでの人生で出会った人々についてお話をさせていただいておりますが、今号も引き続き高校時代について振り返ってみたいと思います。

6.高校時代後半の思い出

 高校2年生の最も楽しい思い出は、演劇でした。どのような理由か分かりませんが、高校の3年間で最も皆が力を入れる行事「高校演劇」の演出に指名されてしまったのです。演目は「ハムレット」。当時、演劇の経験も文才もない私が選ばれたことに、いじめではないかと思ったくらいです。しかし、福田恒存翻訳の「ハムレット」と脚本を読んでいるうちに、とても面白くなり熱中するようになりました。

 主役のデンマーク王子ハムレット、義父で国王のクローディアス、クローディアスと再婚した母ガートルード、ハムレットの恋人オフィーリア、今でも配役それぞれの身ぶり、セリフが思い出せるほどです。演出としての演技指導は、最初はおずおずとやっていましたが、夏休みの後半には慣れてきて、配役の一人一人の手をとり、こうしよう、ああしようと工夫するようになりました。演出役というのは舞台装置、小道具、複数の人間のいざこざ、構成メンバー間の恋愛のもつれなどもろもろの雑用もこなさなければならない仕事でしたが、自分は結構このまとめ役の仕事が好きなのでは、と思うようになりました。夜遅くまで練習をしているときには、生徒指導の先生がやってきて、「女生徒もいるんだから、もう練習を打ち切って早く帰宅しなさい」などとしかられることが多かったのですが、「大丈夫です。僕が責任を持って無事に帰ってもらいます」とつっぱっていました。

 本番当日は、練習のときにはあまりやる気のなさそうだった人も、見違えるような熱演を披露し、非常にうまくいきました。また、美術部の力作の舞台装置や鎧かぶとの類も玄人はだしの素晴らしい出来栄えだったことは今でも鮮明に覚えています。しかし、最後のクライマックスシーン、ハムレットが死ぬ場面でハムレットが身をのけぞった瞬間、なんと坊主頭につけていた毛糸でできた手製の鬘が、ポトンと頭から落ちてしまったのです。その瞬間、悲劇のクライマックスが喜劇のような爆笑をさそい、会場を沸かせました。幕袖で見ていた私が大いに冷や汗をかいたことは言うまでもありません。「ハムレット」の演出の経験と集団で過ごした夏休みで感じたことの一つは、女子のほうが男子よりよほど「大人」で、男子生徒はまだまだ「おぼこ」だということでした。あまり、大人の世界のことが分かっていなかった自分にはいい社会勉強になりました。やはり、高等学校時代は多感な青春時代としての貴重な時間ですから、受験勉強だけでなく、いろいろと経験できる環境が必要です。そういう小さな経験の積み重ねがその後の人生に非常に大きな役割を果たすように思います。

 今も気の合った何人かの高校の同級生とはミニ同窓会と称して1年に2度くらい会合を持っていますが、とても懐かしく、また気兼ねなく話をできることはとてもありがたいものです。

(次号へ続く)


◆修士課程1回生シリーズ/情報学研究科修士1回 石川惠理奈

 私は工学部電気電子工学科を卒業した後、情報学研究科に進学し、現在はヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)の分野で研究しています。HCIとは、既存の「人間の命令に対し逐次的に応答を返す」というシステムとは異なり「人間と双方向的に対話する」というシステムを実現することを考える学問分野です。この双方向的な対話の実現のためには、システムは音声という言語的な情報の認識に加え、ジェスチャーや表情の変化、視線の方向など、人間同士の対話で何気なく用いている非言語的な振る舞いをも正しく認識する必要があります。また観測した振る舞いからその人間の考えている事を推測し、場に合った働きかけを行わなければいけません。これは、私たち人間でもしばしば難しいと感じるくらいですから、システムにとっては非常に困難な問題です。

 私自身の研究としては、人間の注視行動の解析から、その人間の状態を推定するといったことをテーマに行っています。「目は心の窓、目は口ほどに物を言う」などと諺や慣用句でも広く用いられるように、注視行動は人間が内的状態を表出するノンバーバルな振る舞いの一つとしてしばしば注目され、その特性を解明することは重要な試みであるとされています。しかしながら、「人間は見ているものに必ずしも注意・関心を向けているとは限らない」などという性質からこの試みは高い難易度を持ち、未だ十分に知見が得られているとはいえません。注視行動を解析することは、HCIの発展に大きな役割を果たすと考えています。

 私は研究室に配属されて以来、日々楽しんで研究しています。といっても、研究は期待通りに進んでばかりいるわけではありません。「十人十色」とは上手く言ったもので、人間の振る舞いというのは極めて多種多様であり、被験者実験を行っても思いもかけないような要因によって期待する結果が出ないということは多々あります。しかし、だからこそ面白みを感じ、魅力のある分野だと考えています。今後も、指導教員や研究室のメンバーと議論を重ね、精進していきたいと考えます。


◆大学の動き◆

○東日本大震災の被災者救援義援金を被災地の自治体に送りました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110824_1.htm

○「日本料理ラボラトリー」厨房実験室開設記念パーティーを開催しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110728_1.htm

○工学研究科馬詰研究奨励賞授与式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110812_2.htm

○子どもたちの心の復興支援-福島の子どもたちが総合博物館を訪問しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110809_1.htm

○名誉教授称号授与式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110812_1.htm

○野生動物研究センターに熊本サンクチュアリを設置しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110801_2.htm

○iPS細胞技術に関する特許1件が米国で成立
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110811_1.htm

○岐阜京都大学同窓会(楽友会)が岐阜市において開催されました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110730_1.htm

○京大中期目標・中期計画ハンドブックを作成しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/110729_1.htm


◆研究成果◆

○天の川の中心にあるセファイド変光星を世界で初めて発見-銀河の中心で数千万年ごとに起こるベビーブームを示唆-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110825_1.htm

○ビフィズス菌「LKM512」摂取による寿命伸長効果を発見
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110817_1.htm

○V型ATPaseの阻害機構の解明に成功-骨粗鬆症やがんの新薬開発に繋がる成果-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110802_2.htm

○ヒトと同様に、チンパンジーも前頭前野が未熟な状態で生まれる
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110811_1.htm

○多能性幹細胞で作製した生殖細胞に由来するマウスの産出に成功-生殖細胞形成メカニズムの解明、不妊症の原因究明などに貢献-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110805_1.htm

○小胞体カウンターイオンチャネルTRICチャネルによる血圧調節機構とTRICチャネル遺伝子多型による本態性高血圧リスク
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110802_1.htm

○フラーレン内部に水を閉じ込めることに成功-水素結合をもたない水単分子の生成-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110729_1.htm

○極低温の原子気体を用いて物質の新しい量子状態を作り出すことに成功~量子シミュレーター実現への道をひらく~
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/110728_1.htm

◆イベントのお知らせ◆

○京都大学シンポジウムシリーズ 「大震災後を考える」 -安全・安心な輝ける国づくりを目指して-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110714_1.htm

○レクチャーシリーズno.93 ジュニアレクチャー「鯨のお弔(とむら)い」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110903_1.htm

○国際社会学会 家族研究委員会(CFR)京都セミナー2011
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110914_1.htm

○平成23年度 京の府民大学 2011年4月~2011年9月 アフリカ地域研究資料センター公開講座 創立25周年記念シリーズ 「アフリカ研究最前線:生きる」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2010/110917_1.htm

○平成23年京都大学愛媛講演会「生命とは何か~物質と細胞をつなぐ視点から~」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110918_2.htm

○第3回 京都大学公共政策大学院・JIAM連携セミナー「多様な視点で地域活性化を」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110922_1.htm

○京都大学シンポジウムシリーズ 「大震災後を考える」 シリーズXII 「復興と地域社会再生を考える」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110922_3.htm

○京都大学経営管理大学院シンポジウム 「日本経済の再生と企業戦略の変革」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110922_2.htm

○世界の友達と交流できる!パンゲア アクティビティ
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110924_1.htm

○平成23年度京都大学霊長類研究所東京公開講座 「サルを通してみた世界」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110925_1.htm

○ゼロエミッションエネルギー研究拠点国際シンポジウム
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110928_1.htm

○学術情報メディアセンターセミナー「多人数インタラクションの分析と応用」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110927_1.htm

○京都大学シンポジウムシリーズ 「大震災後を考える」 シリーズIX 京都大学防災研究所公開講座「巨大災害にどう立ち向かうか」-想定とその限界-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110929_3.htm

○第182回 アフリカ地域研究会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110929_1.htm

○京都大学シンポジウムシリーズ「大震災後を考える」シリーズXIII 強靭な「日本列島」を構想する ~佐伯啓思×清野純史×藤井聡×中野剛志~
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/110929_2.htm

○京都大学未来フォーラム(第50回)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h8/d2/news4/2011/110930_1.htm

>>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?type=monthly&;c2=1


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