留学相談担当教員による留学準備のためのヒント

「自分でやる」ことが留学の予行演習

 留学の準備は自分で行うことが大原則です。仮に代行業者がいても、自分で行われることをお勧めします。それは留学準備がそのまま現地に行った時の予行演習となっているからです。

 家族から非常に遠く離れた海外に住んでみれば分かることですが、大学内外の手続きは基本的に全て自分がすることになります。外国語で書かれた多くの書類を自分で読み、自分で埋めていかねばなりません。またアポイントメントが普及している国では、実際に相手に会えるのは数日後になることも珍しくなく、 計画性や忍耐が必要です。

 日本にいる間から、時にはうんざりするような留学準備を自分でコツコツ行なっていると、自分の思い通りにすすまないことが必ず出てきます。そんな時でもなんとか自分で対処していれば、渡航先で計算どおりにいかないことがたくさん起こった時にも、あまり慌てないで済むのです。そしてそのような手続きを 通じて留学先の人々の考え方もまた理解できるものです。

渡航先の国を好きになれるか

 留学先の国が好きになれるかというのは難しい質問です。欧州での国際交流調査では海外へ留学した結果、留学先の国を好きになれないケースもあるようですが、これは「よいとこ取りの旅行者の理想的視点」ではなく、「長所も短所も見える居住者の現実的視点」とも言えるかもしれません。また、留学に伴う、 さまざまなストレスのためにその国が好きになれないこともあります。

 ただ、せっかく行くのですから、あまり目くじらを立てずに、まずはのんびりと眺めてみることが必要でしょう。そして、こんな時こそ、どうして留学したかったのかという目的と、そのためにあなたがどれほどの努力をしてきたかを改めて振り返ってみましょう。「単位や学位を取得したい」「異文化を実体験し たい」「一人でどれだけやれるか試してみたい」「広い視野と多様な価値観を持ちたい」など留学の理由は様々でしょうが、その気持ちを実行に移せた今があるなら、その限られた時間を最大限に味わって過ごそうと考えるのも一つのやり方ではないでしょうか。また、腹が立った時には、日本にいる留学生がどのような経験をしているかを考えて見ましょう。同じようなことを、日本の留学生が経験しているだろうことが分かります。

 それぞれの国には良い面と悪い面が常にあります。また同じ国でも多くの個人差があることも事実です。あきれたり、感心したり、そんなことをいろいろと考えているうちにその国がまた好きになっていくものです。

リスクと自己責任

 留学といえどもリスクと不可分です。リスクについては「海外留学とリスク管理」の章で特に詳しく述べていますが、リスクは極力回避すべきです。自己責任とは自らの行動に責任をとり、周りの人に迷惑をかけないということです。自分で責任をとれば何をやっても良いという意味ではありません。あなたに何か あれば、多くの人に迷惑をかけることになるのですから、留学中は、リスクや結果を予測してから行動を取るようにしてください。

感謝の気持ちを忘れずに

 留学には、感謝の気持ちをもって望んでください。あなたの留学は、あなたを応援してくださるご両親、今までに信用を培ってきた派遣留学の先輩達、国際交流の推進を目指す財団の奨学金をはじめとする、多くの人のおかげで可能になりました。その援助をあなたの後の人にもきちんとつなげることが出来るよ う、誇りをもって初心を達成されることを望みます。