ターゲット
公開日
吉田寿雄 人間・環境学研究科教授、西林仁昭 東京大学教授らの研究グループは、ボールミルを用いたメカノケミカル反応により、触媒であるピンサー型の配位子を有するモリブデン錯体の存在下、有機溶媒を全く用いることなく、常温常圧の温和な条件で窒素ガスからアンモニアを合成することに成功しました。本反応では、1気圧(常圧)の窒素ガスと還元剤であるヨウ化サマリウム、水素源である水やアルコールがメカノケミカル条件で反応し、高い収率でアンモニアを与えます。有機溶媒を用いた反応系では全く反応しない不溶性の化合物であるセルロースもアンモニア合成のための反応剤として使用可能となりました。エネルギーキャリアとして有望なアンモニアを、高価で毒性の高い有機溶媒を使用せず、かつ温和な条件下において合成できたことから、より実用に近いアンモニア合成への展開が期待されます。
本研究成果は、2024年10月9日に、国際学術誌「Nature Synthesis」にオンライン掲載されました。
研究者情報
研究者名
吉田 寿雄
書誌情報
【DOI】
https://doi.org/10.1038/s44160-024-00661-y
【KURENAIアクセスURL】
【書誌情報】
Shun Suginome, Kurumi Murota, Akira Yamamoto, Hisao, Yoshida Yoshiaki, Nishibayashi (2024). Mechanochemical nitrogen fixation catalysed by molybdenum complexes. Nature Synthesis.
関連部局