理学は、宇宙から生物、物質などでみられる様々な自然現象を対象とし、それを支配する原理や法則を探究する学問です。その活動を通じて、人類の知的財産としての文化の発展に寄与するとともに、全地球的な課題である環境・エネルギー問題や医療の問題などの解決に必要な科学技術の基盤構築に貢献します。
京都大学理学部では、数理科学、物理学、天文学、地球惑星科学、化学、生物学などの幅広い理学の学問領域を設置しています。自由な雰囲気のもとで主体的に行う学問的活動を何よりも大切にしており、新しい学問分野の創造に重要な役割を果たしてきました。
その一端は、卒業生の中から4名のノーベル賞受賞者と2名のフィールズ賞受賞者を出したことからもうかがえます。理学科一学科制のもと、入学時に専門分野を決定せず、学問を修めていく中で学生の好奇心・能力・適性に応じた専門分野へと徐々に導く「緩やかな専門化」という理念のもとに教育を行っています。
一方、急速に変化し進展する科学技術の最先端は、高等学校までに学んだ既存の学問の基礎から大きく発展し、多様な様相を呈しています。既存の学問の枠を超えて最先端の科学に直接触れる機会を設けることにより、新たな社会を担うための様々な進路選択を可能とします。
【理学部が求める学生像】
京都大学理学部は、このような教育理念に共鳴し、自由の学風のもとで強い意欲を持って学ぼうとする志の高い学生を求めており、以下のような学生の入学を期待しています。
- 自由を尊重し、既成の概念を無批判に受け入れることなく、自ら考え、新しい知を吸収し創造する姿勢を持つ人
- 高等学校の教育課程により培われる十分な科学的素養、論理的・合理的思考力と語学能力を有し、粘り強く問題解決を試みる人
京都大学理学部では、教育理念の実現のためには多様な背景を持つ学生を受け入れることが重要であると考え、現在、「一般選抜」と「特色入試」という2種類の学力検査を実施しています。
いずれの場合も入学後は、「緩やかな専門化」の理念のもと、理学科一学科制の同一カリキュラムを修学することとなります。
一般選抜では、幅広い学問分野に対する理解力や基礎力を評価します。高等学校における数学と理科は、入学後、理学の各分野のより高度な内容を学ぶための基礎であり、それに対応できるような深い理解が求められます。また、国語は、論理的にものごとを考え表現する力の基礎となります。英語の力は、入学後、専門分野の学習、そして、将来の国際的な活動を支えるものとなります。したがって、入学する学生には、将来の専門にこだわることなく、高等学校において、幅広い学習を行ってくることを期待します。これらの学力を測るために、京都大学理学部では、数学・理科(物理、化学、生物、地学から2科目)・国語・英語の個別学力検査を実施するとともに、大学入学共通テストの点数も取り入れた合否判定を行っています。
特色入試では、分野ごとに総合型選抜入試を採用し一般選抜では測りきれない多様な人材を求め評価・選抜します。また、極度に適切さを欠くジェンダーバランスの現状を改善するため女性募集枠を設けています。
数理科学入試では、志願者の数学についての取組や達成に関する報告書などの提出書類、数学に関する能力測定考査、口頭試問及び大学入学共通テストの成績を勘案して総合的に合格者を決定します。
生物科学入試及び化学入試では、志願者のこれまでの科学についての取組に関する報告書などの提出書類に基づき、継続的な学問探究の能力や意欲について確認するとともに、それぞれの分野に関する口頭試問及び大学入学共通テストの成績を勘案して総合的に合格者を決定します。
物理学・数学入試(女性募集枠)、宇宙・地球惑星科学入試(女性募集枠)においては、提出書類、能力測定考査と口頭試問及び大学入学共通テストの成績を勘案して総合的に合格者を決定します。