法学部 教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

21世紀において、地球規模での交流が活発化し、科学技術や産業の革新が進む中、世界も日本も大きな転換期を迎えている今日、広い視野から国家・社会のあり方を深く考え、新たなビジョンを示して、時代を切り拓いていく優れた人材が求められています。

このような要請に応えるため、京都大学法学部は、自由の学風の下、豊かな教養を涵養し、国家・社会の制度や組織の設計及び運営等に必要な法学及び政治学等の基本的知識の修得並びに思考力、判断力、構想力及び表現力等の育成を図り、グローバルな視野から、法、政治、経済及び社会を多角的かつ総合的に捉え、多様な価値観や文化を尊重し、地球・自然環境に配慮しつつ、多元的な課題の解決に取り組み、人々が協働し共に生きる社会の実現のために指導的な役割を果たすことができる優れた能力及び資質と高い志を備えた人材を養成することを教育目標としています。

  1. 法学部では、このような教育目標を達成するため、次に掲げる方針に基づいて教育課程を編成し実施します。
    (1)
    人間、社会及び自然に対する深い洞察力と人間性を育む教養教育の上に、法学及び政治学等の専門教育を行うことを基本としつつ、各自の将来計画や関心に応じた多様な学修を可能とする4年一貫の学士教育課程を編成します。
    (2)
    教養教育については、国家・社会の制度や組織等の基礎にある人間、社会及び自然に関する知識や見方・考え方をより深く学び、法、政治、経済及び社会を多角的かつ総合的に捉える基盤を形成し、倫理性や責任感を高めるために、人文・社会科学科目(外国文献講読(法・英)を含む。)、自然科学科目及び統合科学科目等を幅広く履修することを求めます。
    (3)
    専門教育については、国家・社会の制度や組織の設計及び運営等に必要な法学及び政治学等の基本的知識を、原理・原則から論理的に体系づけて学修する専門科目を開講します。これらの専門科目は、法学及び政治学等への導入となる入門科目(1回生配当)、法学及び政治学等の基礎的科目(2回生配当)及び発展的科目(3・4回生配当等)に編成し、履修登録単位数の上限制により、段階を踏んだ体系的な学修を着実に行うことを求めます。
    (4)
    専門教育において、自ら課題探究を行い、その成果の報告に基づいて自由闊達な討議を行う少人数制の演習科目(3・4回生配当)を開講します。法、政治、経済及び社会を多角的かつ総合的に捉え、新しいニーズや取り組むべき課題を自ら見いだして、企画・立案を行い、課題を解決するために必要とされる論理的な思考力、公正な判断力及び創造的な構想力等や、様々な分野で、多様な人々と協働し、指導的な役割を果たすために必要なコミュニケーション能力を修得するために、演習科目の履修を強く推奨します。
    (5)
    教養教育及び専門教育を通じて、グローバルな視野及び多様な価値観や文化を尊重する姿勢が身につくようにすることを重視します。また、異文化理解能力、外国語を用いたコミュニケーション能力及び国際的な貢献を行う意欲をより高めるために、教養教育における外国語科目及び英語関連科目の履修を求め、英語による専門科目を提供するとともに、在学中の海外留学を奨励します。
    (6)
    専門教育においては、卒業後の進路を見据えて、学術研究職や高度専門職に進む共通の前提となる法学及び政治学に関する理論的知識及び調査研究の方法の基礎を修得できるように配慮します。また、法学及び政治学等に関する知識や能力が現代社会においてどのように活用されているかを学ぶことができるように、実務家教員等が担当する実務的科目及び発展的科目を提供します。
    (7)
    法曹を志望する者が、法学部での学業成績と面接等に基づく特別選抜により法科大学院に進学することができるよう、本学法科大学院の教育課程と連携して、法曹養成のための教育プログラム(法曹基礎プログラム)を提供しています。この法曹基礎プログラムは、(3)から(6)に揚げる専門科目により構成されるもので、必修科目及び選択必修科目などが定められ、科目を段階的かつ効果的に履修し、優秀な成績を修めることが求められます。早期卒業や特別選抜により法科大学院に進学するためには、法曹基礎プログラムを修了することが必要ですが、各自の将来計画や関心に基づいて、法曹基礎プログラムを修了せずに、法科大学院に進学し法曹になる道もひらかれています。
    (8)
    教養教育及び専門教育を通じて、自主・独立の精神に基づいて、自らの将来計画に則り、対話を根幹とする自学自習を行う姿勢及びその方法が身につくようにすることを重視します。そのため、とくに演習科目の履修を推奨するとともに、図書等の充実した学習設備を活用して、学生が自主的な学習会等を行うことを奨励します。
  2. 学生が自らの将来計画に基づいて適切な科目履修を行うことができるように、コース・ツリー並びにすべての科目の授業概要・目的、到達目標、授業計画及び評価方法等を明記したシラバスを示します。また、Webシステム等を利用して、授業の事前及び事後の学習の指示や参考文献を示すなどして、学生の自学自習を支援します。
  3. 教養科目の成績評価は、各科目の性質等に応じて、期末試験(筆記試験又はレポート試験)と平常点の2つの区分により行われ、人間、社会及び自然に関する知識や見方・考え方を深めていること、異文化理解や外国語を用いたコミュニケーションの基本的能力を修得していること、並びに、対話を根幹とする自学自習の基礎的な技法を身につけていることなどを、国際高等教育院が定める評価基準に基づいて判定します。
    専門科目の成績評価については、長文論述(小論文)形式の筆記試験によることを原則とし、法学及び政治学等に関する基本的知識を確実に修得していること、修得した知識を活用して課題解決等を行うために必要となる思考力、判断力及び構想力、並びに多様な考え方を的確に整理し、批判的に検討した上で、自らの意見を説得的に展開する文章力等を身につけていることを厳格に判定します。
    また、様々な分野で、多様な人々と協働し、指導的な役割を果たすために必要なコミュニケーション能力、高い倫理性及び強い責任感を身につけているか否かについては、演習科目など少人数で行う授業科目等において確認します。

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