平井 紀夫

平井 紀夫
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このたび原監事の後任として監事に就任いたしました。国立大学法人京都大学が発足すると同時に、総長特別顧問として人事改革と事務改革に関して助言させていただいてきました。4年間の特別顧問の仕事を通じて少しは京都大学の業務の内容に理解を深めることができたと思いますが、監事はこれまでとは全く異なる役割ですので、もう一度業務の実情を学ぶことから始めなければならないと考えています。

京都大学監事監査規程において、監事の基本的姿勢として「公正不偏な立場で適切に監査を実施することにより、本学の掲げる理念・目的が達成できるように努めなければならない。」と定めています。また、監査の目的は、「本学の業務について適正かつ効率的な運営に資すること」と定めています。こうした監事に関する基本的な考え方を肝に銘じ、監事の役割を果たしていかねばならないと思いを新たにしています。

京都大学の監事監査は、原監事がこれまでの4年間に国立大学法人の監事監査モデルとも言うべき足跡を残されてきていますので、これを継承しつつさらに発展させていければと願っています。

監事監査は、京都大学の業務全般を対象といたします。京都大学は、17大学院、10学部、13附置研究所、28教育研究施設、6機構等を数える大きな組織であり、約30,000名弱という多数の学生・教職員で構成されています。このような京都大学の業務は広範囲かつ多岐に亘る内容であり、業務全般を二人の監事で監査することは極めて困難なことですが、それだけに監査の対象を明確にして、監査対象の業務の実態を精査し、可能な限り問題の本質に迫る努力をしていかなければならないと考えています。また、問題の本質に迫ることが、監事監査の目的である「業務について適正かつ効率的な運営に資すること」に繋がっていくのではないかと考えています。監査にあたり、皆様方に業務の実情をヒアリングさせていただいたり、研究や教育の現場、病院の現場を訪問しその現状をお教えいただいたりすることになりますが、その折には是非率直なご説明とご意見をいただきますようお願いいたします。
また、監事監査の役割として、監事監査の具体的内容を社会に説明し、大学の説明責任の機能の役割の一端を担うことがあります。京都大学の基本理念にも「環境に配慮し、人権を尊重した運営を行うとともに、社会的説明責任に応える。」と定めています。社会的説明責任に応えるとは、大学の透明性を高め、情報を開示し、説明責任を果たすとともに、社会の声を咀嚼し、大学としての最良の行動に結び付けていくことであると考えます。つまり、大学が社会に対する説明責任を果たし、社会との対話を継続していくことにより、大学の理念・目標の達成に近づいていくことであると考えています。監事としてもその役割の一端を担い、監事監査が京都大学の価値向上につながり、京都大学が社会的責任を全うしていけるよう意を尽くしていきたいと思っています。こうしたことは、監事監査に関係される多くの皆様方のご理解とご協力がなければ到底実行できることではありません。

皆様方のご支援、ご協力をお願いいたします。