京大先生図鑑

京大というフィールドに生息する個性豊かな先生たち。普段見られない生態をご紹介!

村山美穂

英名
MURAYAMA MIHO
分類
野生動物研究センター
専門
野生動物分子生態学
職名
教授(理学博士)

行動

一日のスケジュール
普段の行動について
晴れている日はなるべく歩いて大学まで通っている。散歩しながら、身近な動物や植物を観察する。見たものを一つ一つ確認したり、昨日と今日のちょっとした違いに気づいたりすることは、実験を成功させる上でも大切だと思う。
職業病
目に付いたものは、なんでも観察してしまう。そのせいか「四つ葉のクローバー」を見つけるのが得意。パッと見た雰囲気で有るか無いかわかる。
あと、100円均一ショップに行くと、つい「サンプルの採取に使えないか?」と考えてしまう。実際にマニキュアの除光液入れを消毒液の容器に使っている。
好きな食べ物
子供のころから「オムライス」や「餃子」が好き。中身が見えないものが好きなのかもしれない。エスニック料理も好きで、海外へ調査に行っても食で困ることはない。コーヒーよりも紅茶派で、朝来てすぐ最初の一杯を飲んだら、一日中ずっと紅茶を飲んでいる。
趣味
バードウォッチング。学生のときにサークルで、色々なところに行った。鹿児島にツルを見に行ったり、京都の北のほうにあるオオミズナギドリの繁殖地に行ったりしたのは、今でも忘れられない思い出。今は通勤途中に鳥を見るのが楽しみ。
研究道具
綿棒
動物の唾液(口内細胞)を採取するため。
チューブ
唾液のついた綿棒や糞など、採取したサンプルを入れておくプラスチック容器。
遠心分離機
サンプルや試薬の成分を分離させる時に使う。
撹拌機
試薬を混ぜるために使う。
ピペット
サンプルなどの入った溶液を計って試験管にとるための器具。
シークエンサー
遺伝子の塩基配列を調べるための機械。
攪拌機
攪拌機
ピペット
ピペット
シークエンサー
シークエンサー

生息地域

1964年兵庫県生まれ。1983年京都大学理学部入学。1992年同大学院理学研究科霊長類学専攻修了。畜産技術協会附属動物遺伝研究所研究員、岐阜大学農学部助手、岐阜大学応用生物科学部准教授を経て、2008年から現職。
吉田キャンパス近くの「野生動物研究センター」に研究室がある。遺伝子のサンプルは、自分で採取に行ったり、国内外の動物園や水族館、野生動物の生息地からも集まってくる。これまでに集まったサンプルの数は、なんと2万7,000個体以上!

主な生息地 京大の魅力

生態

動物のサンプルを採取する方法を常に考えている。例えば小さいリスザルの場合、すばしっこくて捕まえられないので、殻付きピーナッツをあげて、吐き出した殻に付着した唾液から口内細胞をゲットする。チンパンジーは、ロープに蜂蜜やジュースを塗って、それをしゃぶらせることで唾液を手に入れる。
鳥は巣穴に落ちている羽根──などなど。これらの試料から遺伝情報が得られるのである。難しいのはトラやライオンなどの猛獣。糞は比較的簡単だが、エサにして食べた他の動物の遺伝子が混ざっている可能がある。やはり唾液がベターだが、何を口に入れさせるか?が問題。ネコの仲間だからネコじゃらしか?──などと、日々真剣に模索している。

「野生動物分子生態学」に興味をもったワケ

村山先生の夢マンガ

  

特徴

人物像
集中力が高すぎると言われたことがある。子供の頃も、本を読んでいると話の中に意識が入りこんでしまい、時間を忘れることがよくあった。何かをやっていると、それに集中しすぎてしまい、ほかのことが目に入らなくなるのだ。そのために仕事が滞らないよう、タイマーをセットして、「この作業を30分、それが終わったら論文執筆を30分」と、細かくスケジュールを管理している。あと、やりたいことが多いせいか、歩くのも早いようで、いつも急いでいる感じがすると言われる。
学生時代
大学に入った時は、特に研究者になろうとは思っていなかったが、周りの同級生が、「自分は将来こんな研究をしたいんだ」などという話に触れているうちに、研究に興味を持つようになった。
勉強以外では、「鴨川鳥類調査グループ」というバードウォッチングサークルの活動に情熱を注いだ。ナイトハイクといって、夜通し歩いて朝に鳥がさえずり始めるのを聴くことができたのは印象的だった。カラスやユリカモメの調査も手伝った。
リーダーシップを発揮して先頭を歩くというより、グループの後について行くような、控えめな女子学生だった。
もし京大の先生になっていなかったら
中学や高校の生物教師。高校の時から生物や理科が好きで、大学に入ってしばらくは、学校の先生が進路希望だった。

縁

自分を漢字一文字に例えると

「縁」。
友達との縁や共同研究者の縁で今があると思う。これからもそういう縁をつなげていきたい。あとこの字は「フチ」とも読むが、性格的にフチ、端っこが好き。研究もド真ん中のテーマではなく、ちょっと周辺の、誰も目をつけないような面白いことができたらいいと思っている。