京都大学メールマガジン Vol.79

京都大学メールマガジン Vol.79

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京都大学メールマガジン vol.79

http://www.kyoto-u.ac.jp/

■[2013年1月25日号 目次]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆1. トピックス
◆2. 総長からのメッセージ【総長 松本 紘】
◆3. 特集【白眉センター 特定助教 大串素雅子】
◆4. ニュース
◆5. イベント情報
◆6. 研究情報
◆7. 京大の「実は!」(Vol.3 「エンブレム誕生の歴史」)
◆8. 広報コラム

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◆1.トピックス 
京都大学総合博物館にて「マリア十五玄義図の探究」開催中
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 大正期以来、京都大学では「マリア十五玄義図」の研究をたゆみなく進めてきました。本展覧会では、江戸時代の厳しい禁教下、摂津国のキリシタンが大切に受け継いできた二つの「マリア十五玄義図」と、1990年代の国立歴史民俗博物館との共同研究が生み出した再現模写の三つのマリア像を一堂に展観し、京都大学研究資源アーカイブに新しく加わったデジタルコレクションとともに、研究の歴史を紹介します。

・開催期間:2013年1月9日(水曜日)~2月3日(日曜日)
・開催時間:9時30分~16時30分(入館は16時00分まで)
・休館日:月曜日・火曜日(平日・祝日にかかわらず)
・観覧料:一般400円/高校生・大学生300円/小学生・中学生200円

続きはこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2012/130118_1.htm

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◆2.総長からのメッセージ 【総長 松本 紘】
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「昨年、最も嬉しかったこと -「未科学」を科学に-」

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年には本学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授のノーベル生理学・医学賞の受賞という喜ばしい出来事がありました。これに関連し、世間一般には「科学の世界」と「非科学の世界」という二律背反する世界があると思われています。科学の世界は論理が貫徹しうる、説明されうる世界、一方、非科学な世界は論理に基礎をおかない、荒唐無稽な作りごとの世界という二分論です。しかし、その境目はそんなにはっきりしたものではありません。

 例えば、時間は一律に流れることは19世紀までは科学の常識でした。20世紀になり、その常識を覆した人がいます。有名なアインシュタインです。彼は慣性系によって時計の進み方が違うと唱えました。一方、世界各地の昔話や神話にはいくらでもそういう話があります。竜宮城にいった浦島太郎はその一例です。科学者はそんなものはただの嘘話と思い、鼻で笑っていました。ところがアインシュタインは自分の頭で考えて、質量も変わる、時間の進み方も変わる可能性があることに気がついたのです。それは非科学といわれた世界を科学に持ち込んだ例のひとつです。

 実は、山中教授の話も同じような話なのです。細胞において1回時計の針を戻し、元の状態、幹細胞としてあらためて多様な展開を可能とするということは素晴らしい着想です。しかし、この話は昔だったら「非科学」的と一笑に付されたに違いありません。実はこれは非科学ではなく、「未科学」だったのです。そして、それを非凡な実験構想に基づき「科学」として開花させることができたのです。「未科学」の世界を「科学」の世界に取り込む。つまり科学の領域を広げて、「未科学」の世界にチャレンジしていく、こういうことが研究者にとって最も重要な仕事のひとつです。これを山中教授がなし遂げられたことが、世界に認められた。そのことが私には何にもまして嬉しかったのです。そして、みなさんに「未科学」を「科学」にするということにチャレンジしてみようとぜひ思っていただきたい。それが、年頭にあたって私の強く希望するところです。

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◆3.特集 【白眉センター 特定助教 大串素雅子】
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 昨年10月、山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞され、同じ生物学の研究者として非常に誇らしくかつ嬉しく思った。周りの人間から「山中教授がノーベル賞をなぜ受賞出来たのか」と問われ考えさせられる機会が多かったので、今回このメールマガジンで自分の意見を述べようかと思う。

 山中先生の受賞理由は"for the discovery that mature cells can be reprogrammed to become pluripotent"「分化した細胞が万能性を再獲得できることを発見したこと」となっている。我々の体を構成する細胞は、たった一つの細胞である受精卵が増殖・分化を繰り返して生み出されたものである。受精卵は個体を形成するのに必要な全ての細胞になりうる能力、全能性を兼ね備えており、受精後数回分裂がすすんで形成される胚盤胞の内部細胞塊の細胞はほとんど全ての体を構成する細胞に分化する能力、万能性をもつ。しかし、さらに発生が進行すると個々の細胞は組織・臓器特異的な特徴を持ち出し、それと相反するように他の組織・臓器になる能力を失っていく。動物において一度組織・臓器特異的な特徴をもった(分化した)細胞は、卵子もしくは内部細胞塊の細胞と融合しない限り、万能性を再獲得することは不可能であると考えられていた。しかしながら、山中教授は分化した体細胞にたった四つのタンパク質を導入することで万能性を再獲得させられるということを示したのである。

 私の友人に「なぜたった四つのタンパク質を導入させたら万能性を再獲得できる、といったシンプルな実験を他の誰も試みなかったのか?」と尋ねられ、非常にはっとさせられた。まさにここに山中先生のすごさがあると思ったのである。我々研究者は時に膨大な知識や経験に埋もれてしまい、新たなことに勇敢に挑戦することに億劫になるときがある。実際山中先生がiPS細胞樹立の研究計画を提出した際も、研究を審査した教授陣は「こんなこと本当に可能なのだろうか」という感想を持ったと聞く。しかし、周りが不可能だと思うことに挑戦したその勇気こそがノーベル賞受賞に至った最たる理由ではないかと思う。自由な発想、勇敢な挑戦心を持つ研究をサポートする環境の充実・確保は、今の日本の基礎研究が直面している大きな問題であるといっても過言ではない。山中先生のノーベル賞受賞によってiPS細胞による再生医療の発展だけでなく、日本の基礎研究の発展に必要な環境が整ってくれることを切に願う。 

 また、京都大学白眉プロジェクトは、様々な分野から新進気鋭の若手研究者たちを集め、相互作用を促しつつ自由に研究させることをモットーとしている。研究の創造性を支援し育む点において、一つのモデルケースになりうると考えている。こういったプロジェクトを個々の大学が充実させ、大学のオリジナリティーをあげていくことで日本の研究・教育はより発展するはずである。山中先生の受賞を機にみなさんも大学のあり方、研究のあり方に思いを馳せてみてほしい。

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◆4.ニュース
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京都大学の最新のニュースを紹介します。

○総長主催「外国人研究者との交歓会」を開催
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 2012年12月21日(金曜日)、百周年時計台記念館において、総長主催「外国人研究者との交歓会」を開催しました。これは年末の国際交流恒例イベントとして、平成12年から開催しているもので、京都大学で教育・研究に携わっている外国人研究者と、総長、理事・副学長等および部局長をはじめ、外国人研究者と関わりのある本学教職員との間の交流を深めることを目的としています。

 今回の参加者は、外国人研究者・日本人教員等合わせて270名を超え、研究科・研究所・センター等計30を超える部局から参加がありました。外国人研究者、受け入れ教員ともに、通常ではあまり接する機会のない異分野の研究者同士で互いの研究内容などをテーマに懇談が盛り上がり、活気に満ちた交歓会となりました。

 続きはこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2012/121221_1.htm

▼その他のニュースはこちらからご覧いただけます。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?type=monthly&;news=on

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◆5.イベント情報
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京都大学では、様々なジャンルのイベントを多数実施しています。

○第33回品川セミナー (2013年2月1日開催・要申込)
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 京都大学には、学部や大学院のほかに、現在22の附置研究所と研究センターがあります。これらの研究所群が一体となって学問の最先端の様子を広く一般の方々にお届けし、その声を直接お聴きすることを目的として、東京・品川で連続セミナーを開催しています。

 第33回目の今回は、井倉毅 放射線生物研究センター准教授による「放射線の攻撃からゲノムを守る-我々のゲノムを守る蛋白質の巧妙かつダイナミックな防衛戦略-」、高田穣 同教授による「内なる敵アルデヒドの攻撃からゲノムを守る-「体内浄化」と「傷の修理」の二つの戦略」について、それぞれお話をいただきます。

詳しい内容はこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2012/130201_1.htm

○京都大学 東京オフィス 連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ10 教育を考える(2月6日、20日、27日、3月6日開催・要申込)
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 このたび、京都大学東京オフィスにて、連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ10を開催します。

 教育学部・教育学研究科では、教育を学問対象として研究するとともに、教育と実践の場を往還しながら、日々の活動が行われています。今回は、教育学研究科の教員4名が、哲学・心理学・社会学など様々な側面から「教育」について広く深くお話しします。

詳しい内容はこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2012/130306_1.htm

○京都大学ICTイノベーション2013 (2013年2月19日開催・要申込)
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 京都大学において研究開発されている情報通信技術(ICT)を公開し、産官学連携を促進するためのイベント「京都大学ICTイノベーション2013」を開催します。情報学研究科、および学術情報メディアセンターの教員、研究員、情報学研究科大学院生が研究開発したアルゴリズム、ソフトウェア、コンテンツ等の成果を一挙(50件予定)ポスター・デモ展示するとともに、一部については口頭発表を行います。

 詳しい内容はこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2012/120219_1.htm

▼他にも多くのイベントを予定しています。
詳しくはこちらからご覧いただけます。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?type=calendar

▼また、広く一般の方にもご参加いただける公開講座、講演会、シンポジウム
などはこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/education/open/open_course/index.htm

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◆6.研究情報
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[1]研究最前線からのメッセージ
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 京都大学には、各分野の第一線で活躍し、世界的な業績を上げている研究者がたくさんいます。名前はよく聞くけれど、研究成果はよく話題になるけれど、果たしてどんな先生なの?

 そんな素朴な疑問に答えるべく、世界の最前線に立つ「研究の匠」のメッセージをご紹介します。

○VOL.12 根井雅弘 教授(大学院経済学研究科)
「「冷静な頭脳と温かい心」で多様かつ豊饒な経済学の構築をめざす。これが現代経済思想史の使命です。」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/forefront


[2]研究成果
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京都大学の最新の研究成果5件を紹介します。

○ヒトiPS細胞を用いて腎臓の一部構造を再現
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/130123_1.htm

○微小領域での3次元光立体配線に成功
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/130121_1.htm

○抗体遺伝子改編酵素(AID)のRNA編集活性証明に成功 -抗体遺伝子機能強化機構の解明に期待-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/130122_1.htm

○骨粗鬆症やがん転移に関与する分子モーターの回転の仕組みを解明-明らかになった構造と動作原理に基づいた治療薬の開発が可能に-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/130114_1.htm

○水と油を効率的に分離できる柔軟多孔性物質(マシュマロゲル)の開発に成功 -原油回収や分析化学での応用に期待-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/130111_2.htm

▼そのほかにも多数の研究成果を発表しています。
詳しくはこちらからご覧いただけます。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?type=monthly&c2=4

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◆7.コラム 京大の「実は!」
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京都大学には、実は・・・こんなステキなスポットがある!
京都大学には、実は・・・こんな知られざる歴史がある!

など、京大の「実は!」な魅力を紹介します。

○Vol.3 京都大学の「エンブレム」誕生の歴史に迫る!

 今やあらゆるところで目にする京都大学のエンブレム。デザインは、言わずと知れた京都大学のシンボル、クスノキがモチーフとなっています。今回は、このエンブレム誕生の歴史について紹介します。

  京都大学のエンブレムの原型は、1950(昭和25)年頃、本学庶務課に在籍していた職員 小川録郎氏により考案され、以来「事務局シール」として事務局および部局における印刷物、レターヘッド等に使用されていました。
その後、国際交流の進展に伴い、大学としてのエンブレムの必要性が高まり、工学部建築学科 川崎清教授および京都芸術短期大学ビジュアルデザイン学科 久谷政樹教授により、意匠についての専門的な検討が加えられ、1990(平成2)年11月16日の評議会において、本学のエンブレムとすることが了承されました。以降、そのエンブレムは、大学が発行する様々な広報物等に京都大学の象徴として広く用いられてきましたが、印刷技術や広報媒体の変化に伴いデジタルデータの制定が必要となりました。

  現在のエンブレムは、大学広報委員会の要請により、学術情報メディアセンター 奥村昭夫客員教授(デザイナー)、コンテンツ作成室(元木環助教)、全学共通科目「グラフィックデザイン」受講学生有志によって、デジタルデータ化と同時に利用状況・環境を考慮して、再検討されたもので、2009(平成21)年10月20日の部局長会議にて、本学の名義やロゴタイプ、スクールカラーなどとともに制定されました。
そして現在、エンブレムは京都大学の顔として、様々なところで認知度を高めています。

▼続きはこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/issue/mm/jitsuha/2012/130125.htm

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◆8.広報コラム
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 本号が2013年最初のメールマガジンです。
 皆さま、今年もどうぞよろしくお願いします。

 今年もいよいよ受験シーズンが到来しました。先日は2013年度の大学入試センター試験が実施され、会場となった京都大学にもたくさんの受験生が来場しました。

 大学を受験する目的は、受験生によって様々だと思います。「夢を叶えたい!」、「学問に専念したい!」、「憧れの職業に就くためのステップにしたい!」、「キャンパスライフを楽しみたい!」。そこには受験生たちの溢れんばかりの夢や希望が詰まっています。

 このメールマガジンの読者の中にも、京都大学を目指す人がいるかもしれません。京都大学の自由の学風は、そんな受験生の様々な思いを実現へと近づけるためのヒントがみつかる環境だと思います。

 受験生の皆さん、これから受験もラストスパートです。体調万全で100%の力を発揮出来るよう、心から応援しています。
[渉外部広報・社会連携推進室]


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