塚本博丈 医学研究科特定准教授は、医学部附属病院、熊本大学との共同研究により、免疫チェックポイント阻害療法に伴い副反応として発生する肺傷害の要因となる免疫応答を明らかにしました。
PD-(L)1阻害療法に代表されるがん免疫療法は、がんの代表的な治療法です。この治療で活性化された免疫応答により、がんのみならず、正常自己臓器が傷害されてしまう免疫関連有害事象(irAE)が発生する場合があります。しかし、その原因となる免疫応答は未だ明らかではありません。これまで同グループでは、老齢担がんマウスにPD-(L)1阻害療法を施行すると若い担がんマウスでは観察されなかった肺傷害が発生し、その肺では異所性リンパ節様構造形成と、抗体の沈着が起こることを見い出してきました。さらに本研究では、PD-(L)1阻害療法によりCD4 T細胞にて共刺激分子ICOSが発現上昇し、それらがICOSLを発現するB細胞の活性化、および抗体産生細胞への分化を促進し、肺傷害を引き起こすことを明らかにしました。また、がん患者においてもICOSはirAE肺傷害の発症に寄与する可能性が示唆され、ICOS陽性CD4 T細胞がirAE発症を予測する指標、さらには病態改善の標的として活用される可能性が期待されます。
本研究成果は、2025年4月8日に、国際学術誌「Journal of Clinical Investigation Insight: JCI insight」にオンライン掲載されました。

【DOI】
https://doi.org/10.1172/jci.insight.186483
【書誌情報】Mari Yokoi, Kosaku Murakami, Tomonori Yaguchi, Kenji Chamoto, Hiroaki Ozasa, Hironori Yoshida, Mirei Shirakashi, Katsuhiro Ito, Yoshihiro Komohara, Yukio Fujiwara, Hiromu Yano, Tatsuya Ogimoto, Daiki Hira, Tomohiro Terada, Toyohiro Hirai, Hirotake Tsukamoto (2025). ICOS+CD4 T cells define a high susceptibility to anti-PD-1 therapy-induced lung pathogenesis. Journal of Clinical Investigation Insight: JCI insigh.