懐かしさを感じやすい人ほど親しい友人が多い―約1,500人を対象とした国際調査で判明―

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 年齢を問わず、人はしばしば懐かしさを感じます。これまでの心理学研究では、家族や高校時代の思い出など懐かしい経験を振り返ることで、孤独感が和らぎ、他者とのつながりを感じやすくなることが示されています。しかし、懐かしさが人間関係に実際にどのような長期的な影響を及ぼすのかについては、十分に解明されていませんでした。

 黄冠儒 人間・環境学研究科博士後期課程学生とYa-Hui Chang ニューヨーク州立大学バッファロー校(University at Buffalo, The State University of New York)博士課程学生(研究当時)による国際共同研究では、約1,500人を対象に行われた3つの調査から、懐かしさを感じやすい人は人間関係を維持するためにより多くの努力をし、長期的には親しい友人の数が多くなることが明らかになりました。また、年齢とともに親しい友人の数は減少する傾向がありますが、懐かしさを感じやすい人は、7年間の調査期間中に親しい友人の数を維持しました。これらの結果から、過去の大事な思い出を振り返る人ほど、人間関係の重要性を再認識し、それを維持する努力をすることが分かりました。

 本研究成果は、2025年3月12日に、国際学術誌「Cognition and Emotion」にオンライン掲載されました。

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懐かしい記憶のイメージ(画像:Pexelsより、撮影:Inga Seliverstova)
研究者のコメント

「懐かしさを感じる人は、過去に囚われているわけではありません。むしろ、懐かしい記憶はポジティブな感情や社会的つながりを生み出すことが、心理学の研究で多く示されています。私たちの研究では、懐かしさを感じる頻度が高く、その思い出を大切にしている人ほど、大切な人間関係を育むことの重要性を認識していることがわかりました。年齢を重ねて、生活環境や責任が変化しても、こうした友情は長続きしやすいようです。」

研究者情報
研究者名
Kuan-Ju Huang
書誌情報
【書誌情報】
Kuan-Ju Huang, Ya-Hui Chang (2025). The past that ties us together: nostalgia strengthens social networks. Cognition and Emotion.