ヤドカリに寄生する甲殻類の新種発見とFalsanathelges属の日本からの初めての報告―75年ぶりの新種記載―

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 篠田晏希 理学研究科修士課程学生、藤田大樹 フィールド科学教育研究センター日本学術振興会特別研究員(PD)、 中野智之 同准教授、下村通誉 同教授らの研究グループは、奄美大島付近の水深163~167 mにて得られたヤッコヤドカリの腹部から寄生性等脚類ヤドカリノハラヤドリ亜科(Athelginae)の1種を発見し、形態の精査の結果、Falsanathelges属の新種「ヤッコヤドカリノハラヤドリFalsanathelges grandiceps」と命名し、新種として報告しました。本種は頭部が体と比べ非常に大きいことから、ラテン語で「大きい」を意味する「grandi」と「頭」を意味する「ceps」を組み合わせてFalsanathelges grandicepsと命名しました。和名は宿主のヤッコヤドカリのお腹に宿ることに由来します。

 日本産ヤドカリノハラヤドリ亜科はこれまで3属4種が報告されています。日本産ヤドカリノハラヤドリ亜科の新種記載は75年ぶりで、本属は日本から初めて発見されました。

 本研究成果は、2025年2月27日に、国際学術誌「Zootaxa」にオンライン掲載されました。

 

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ヤッコヤドカリとその腹部に寄生するヤッコヤドカリノハラヤドリ
研究者のコメント
「初めての論文投稿ということもあり、苦難の連続でしたが、多くの方々の支えにより論文を出版することができました。たくさんの方々にヤドカリにこんな生物が寄生していることを知っていただけたら幸いです。」(篠田晏希)
研究者情報
研究者名
Hiroki Fujita