野生動物と車両の衝突は、怪我、死亡、車両の損傷など、人間と動物の双方に大きな損害をもたらすことから、事故データの分析は適切な対策や野生動物管理に重要です。
この度、小林和也 フィールド科学教育研究センター准教授、内藤アンネグレート素 理学研究科博士課程学生(兼:野生動物研究センター博士課程学生)(現:京都市動物園日本学術振興会特別研究員(PD))、森井悠太 白眉センター/理学研究科特定助教(現:弘前大学准教授)、貞國利夫 釧路市博物館学芸員のグループは、希少鳥類であるオジロワシ、オオワシ、タンチョウの交通事故の時空間的動態を明らかにしました。環境省から入手したデータを用いて北海道で回収された個体数を推定した結果、1991年から2021年の間に各種で大幅に増加したことがわかりました。要因としては、個体数の増加、事故発生確率の増加、事故の目撃・報告確率の増加が考えられます。また、それぞれ種の生態学的特性と生息地が事故発生の推定値の違いとしても現れていたため、本研究が各種の事故対策に役立つことが期待されます。
本研究成果は、2024年11月12日に、国際学術誌「Conservation Science and Practice」にオンライン掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1111/csp2.13250
【書誌情報】
Kazuya Kobayashi, Annegret Moto Naito-Liederbach, Toshio Sadakuni, Yuta Morii (2024). Long-term data reveals increase in vehicle collisions of endangered birds in Hokkaido, Japan. Conservation Science and Practice, e13250.
北海道新聞(11月13日 24面)に掲載されました。