気候正義の認識が行動と政策支持に影響を及ぼす―世界11か国の調査から判明―

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 パク・ジュナ 教育学研究科講師、チャールズ・オグンボデ 英国ノッティンガム大学(University of Nottingham)助教らの国際研究チームは、「気候正義」への認識と行動・政策支持との関連を調査しました。

 気候正義とは、貧しい階層や国家であるほど気候変動に脆弱だという事実に焦点を当て、それに対処する行動と政策を支持しようとする概念です。本研究では、世界11か国の5,600名以上の成人を対象に大規模なオンライン調査を行い、気候正義に対する考え方が、日常の環境保護行動や気候変動に関する政策の支持に強く結びついていることを明らかにしました。

 調査結果によると、被験者全体の66.2%が「気候正義」という言葉を知らなかったものの、貧困層が気候変動による影響をより強く受けているという考えは、多くの人に支持されていました。特に、日本における「気候正義」の認知度は参加国の中で最低の13.8%であったものの、エネルギーの節約や公共交通機関の利用などの環境行動への意識と、気候正義の認知度との間には密接な関係があることが示されました。

 本研究は、気候変動に対する公平な政策の重要性を浮き彫りにし、政策立案者が気候正義の観点を重視することで、国際的な気候変動対策がより広範に支持される可能性を示唆しています。

 本研究成果は、2024年10月18日に、国際学術誌「Nature Climate Change」にオンライン掲載されました。

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(左)各国の「気候正義」という言葉の認識率(緑)と気候正義に関する理解度(青)。それぞれ「はい」および「かなり・たくさん知っている」と答えた人の比率を示す。(右)各国の気候正義への関心度合と気候変動緩和政策支持との単純回帰分析結果。
研究者のコメント
「気候変動の危機に対して公正な対応を求めるために、気候正義の原則が世界中で広く支持されていることを明らかにした私たちの研究が役立つことを期待しています。日本において気候正義という概念はあまり知られていませんが、その考え方自体は多くの人々に共感されています。また、これまでの研究では、日本の環境問題への関心や行動がOECD諸国の中で低い方あることが示されており、これは気候変動に関する認識や知識の不足が一因とされています。今後、教育現場でのカリキュラム開発などを通じて、関心と知識を高めることが重要であり、それが気候行動の促進にもつながるでしょう。」(パク・ジュナ)
研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1038/s41558-024-02168-y

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/290607

【書誌情報】
Charles A. Ogunbode, Rouven Doran, Arin H. Ayanian, Joonha Park, Akira Utsugi, Karlijn L. van den Broek, Jihane Ghorayeb, Sibele D. Aquino, Samuel Lins, John J. B. R. Aruta, Marc E. S. Reyes, Andreas Zick, Susan Clayton (2024). Climate justice beliefs related to climate action and policy support around the world. Nature Climate Change, 14, 1144–1150.