西田聖 医学研究科博士課程学生(現:倉敷中央病院医長)、髙橋良輔 同特命教授、澤本伸克 同教授らの研究グループは、神経変性疾患の一種であるパーキンソン病における歩行障害を代償する脳内ネットワークを解明し、そのネットワークの調整に前脳基底部のアセチルコリン作動性神経が関係していることを示しました。
本研究グループは、パーキンソン病患者の歩行機能、認知機能、頭部磁気共鳴画像法(MRI)構造画像、安静時機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を評価しました。その結果、パーキンソン病患者の歩行障害を代償する機構に、線条体と前頭頭頂ネットワークの機能的結合が関与すること、さらにその機能的結合は注意機能に関係することが知られる前脳基底部の灰白質容積と相関していることを示しました。
本研究はパーキンソン病の歩行障害に対して新たな視点を追加することで、薬物療法やリハビリテーションなどの開発に寄与できると考えられます。
本研究成果は、2024年7月8日に、国際学術誌「Neurology」に掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000209606
【書誌情報】
Akira Nishida, Atsushi Shima, Daisuke Kambe, Koji Furukawa, Haruhi Sakamaki-Tsukita, Kenji Yoshimura, Ikko Wada, Yusuke Sakato, Yuta Terada, Masanori Sawamura, Etsuro Nakanishi, Yosuke Taruno, Hodaka Yamakado, Yasutaka Fushimi, Tomohisa Okada, Yuji Nakamoto, Ryosuke Takahashi, Nobukatsu Sawamoto (2024). Frontoparietal-Striatal Network and Nucleus Basalis Modulation in Patients With Parkinson Disease and Gait Disturbance. Neurology, 103, 3, e209606.
読売新聞(11月8日 27面)に掲載されました。