田口聡 理学研究科教授、細川敬祐 電気通信大学教授、津田卓雄 同准教授、片岡龍峰 国立極地研究所准教授、小川泰信 同教授を中心とする国際共同研究グループは、ノルウェーのスバールバル諸島に設置されている全天型オーロラ撮像装置と、DMSP(防衛気象衛星計画)衛星に搭載された紫外線撮像装置による共同観測によって、北極域を埋め尽くすように出現した巨大なオーロラの観測に成功しました。宇宙や地上からの観測を統合的に解析することによって、この巨大なオーロラは、太陽から吹き付ける荷電粒子の風である「太陽風」が1日以上にわたってやんでいた時間帯に、太陽から北極域に「電子の雨」が降り注ぐことによってつくられたものであることを突き止めました。また、地上からの高い解像度の光学観測によって、電子の雨に伴って発生するオーロラに複雑な模様があることも明らかにしました。この模様は、電子の雨の起源である太陽表面の構造をスクリーンのように映し出している可能性があり、電子の雨がつくりだすオーロラを地上から観測することによって、太陽表面のイメージングが可能になることが期待されます。
本研究成果は、2024年6月22日に、国際学術誌「Science Advances」にオンライン掲載されました。
【DOI】
https://doi.org/10.1126/sciadv.adn5276
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/289501
【書誌情報】
KEISUKE HOSOKAWA, RYUHO KATAOKA, TAKUO T. TSUDA, YASUNOBU OGAWA, SATOSHI TAGUCHI, YONGLIANG ZHANG, LARRY J. PAXTON (2024). Exceptionally gigantic aurora in the polar cap on a day when the solar wind almost disappeared. Science Advances, 10, 25, eadn5276.