発作時DC電位は難治てんかん焦点の新しいバイオマーカーとして注目されています。今回、池田昭夫 医学研究科教授、小林勝哉 同助教、梶川駿介 同客員研究員らと、和泉允基 千葉大学博士課程学生(研究当時)、岩崎真樹 国立精神・神経医療研究センター部長らの共同研究グループは、時定数2秒記録の頭蓋内脳波で発作時DC電位が難治てんかん焦点の新しいバイオマーカーとして有用であることを、世界で初めて明らかにしました。
本研究成果は、2023年10月31日に、国際学術誌「Epilepsia」にオンライン掲載されました。
「当研究室は、今まで時定数10秒の脳波で、てんかん焦点の新しいバイオマーカー『発作時DC電位』を明らかにしてきました。今回、世界中で汎用される脳波計(時定数2秒)でも本所見が解析可能なことがわかりました。これにより、1) 本バイオマーカーを用い、てんかん外科の切除部位をより正確に同定することが普及し、てんかん外科の成績向上が期待できます。また、2) 本バイオマーカー手法を用いて、片頭痛、急性脳障害、一過性脳血流障害、一部の認知症などでも、頭皮脳波でDC電位様所見が徐々に知られています。今後神経疾患の病態評価への広い臨床実装が期待できます。」(池田昭夫)
【DOI】
https://doi.org/10.1111/epi.17782
【書誌情報】
Masaki Izumi, Katsuya Kobayashi, Shunsuke Kajikawa, Kyoko Kanazawa, Yutaro Takayama, Keiya Iijima, Masaki Iwasaki, Yoji Okahara, Seiichiro Mine, Yasuo Iwadate, Akio Ikeda (2023). Focal ictal direct current shifts by a time constant of 2 seconds were clinically useful for resective epilepsy surgery. Epilepsia.