雨後のキノコの電気的な会話を測定-菌糸のネットワークによるシグナル伝達の可能性を野外で初確認-

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 菌根菌は土壌中に菌糸のネットワークを張り巡らせ、植物の根と共生関係を築くことで森林生態系の維持に重要な役割を果たしています。菌根菌の菌糸を介した植物間のシグナル伝達は世間の注目を集めていますが、科学的なデータは多くありません。

 潮雅之 白眉センター特定准教授(現:香港科技大学助理教授)、深澤遊 東北大学助教、武樋孝幸 長岡工業高等専門学校講師、赤井大介 同本科生の研究グループは、森林の地上から発生した外生菌根菌オオキツネタケのキノコ(子実体)に電極を設置し、雨の後にキノコの電気的な活性が変化しそれが維持されることを野外で初めて測定することに成功しました。キノコ間での電位の変動パターンに有意な因果関係が確認されたことから、キノコ間で電気シグナル伝達が起こっている可能性があることが示唆されました。菌根菌を介した植物個体間のシグナル伝達の研究に寄与する成果です。

 本研究成果は、2023年3月14日に、菌類生態学の国際誌「Fungal Ecology」のオンライン版に掲載されました。

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オオキツネタケのキノコに設置された電極
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.funeco.2023.101229

【書誌情報】
Yu Fukasawa, Daisuke Akai, Masayuki Ushio, Takayuki Takehi (2023). Electrical potentials in the ectomycorrhizal fungus Laccaria bicolor after a rainfall event. Fungal Ecology, 63:101229.
 

メディア掲載情報

日刊工業新聞(3月27日 35面)および日本経済新聞(4月2日 26面)に掲載されました。

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