本川雅治 総合博物館教授と牧野智久 理学研究科博士課程学生、谷戸崇 同博士課程学生、岡部晋也 同博士課程学生は、沖縄県教育委員会事務局文化財保護課、沖縄大学地域研究所、兵庫県立大学・人と自然の博物館との共同研究により、琉球列島南部に位置する宮古島、多良間島、および与那国島において、日本から報告がなかったクマネズミ系統 IV をはじめて発見し、日本には進化史の異なる3つの系統が生息することが明らかになりました。
広義のクマネズミは人家や耕作地をはじめとして、人間の生活域に広く生息し、人類史において人間の移動とともに分布拡大したネズミです。ミトコンドリア遺伝子の先行研究で、別種と見なすことのできる6つの系統が知られています。日本からは系統 I と系統 II が分布するとされてきました。本研究は、人間とともに分布を拡大したクマネズミ類の多様性形成を解明する上で重要な知見を提供するものです。また、ネズミ類の駆除や管理において、系統 I 、系統 II と系統 IV の正確な種同定の重要性を示しています。
本研究成果は、2022年5月2日に、日本哺乳類学会の国際学術誌「Mammal Study」にオンライン先行公開されました。
【DOI】
https://doi.org/10.3106/ms2022-0001
【書誌情報】
Masaharu Motokawa, Tomohisa Makino, Takashi O. Yato, Shinya Okabe, Tsunehiro Shiroma, Masanao Toyama, Hidetoshi Ota (2022). First Record of Lineage IV of Rattus tanezumi (Rodentia: Muridae) from the southern Ryukyus, Japan. Mammal Study, 47(3), 1-8.