安井康夫 農学研究科助教、竹内やよい 国立環境研究所主任研究員らの研究グループは、世界最大の花ラフレシアのマレーシア・サラワク州ナハ・ジャレー地域における新産地とその生態について報告しました。
ラフレシアはマレーシアの重要な観光資源の一つですが、限られた自生地と寄生植物という特異な性質から、その生態に関する基本的な知識が不足しています。
今回、サワクラ州でのダム開発に伴い新たに発見された個体群の種は、ラフレシア・トゥアンムデであり、これはこの種の最東の分布でした。またラフレシアの花芽成長は、初期および若年期は非常に遅いものの、成熟期は指数関数的な急激な成長を示すことがわかりました。またラフレシアは芽から開花までに約1年の期間を要し、条件によっては非常に脆弱な植物であることが明らかになりました。
この成果は既存の分布や生態の解明に寄与し、ラフレシア個体群を自然環境の中で保全する生息域内保全、また植物園等での生息域外保全の上でも欠かせない知見となります。特に、このラフレシアを有する地域社会による生物多様性保全、地域振興、環境教育の推進に寄与することが期待されます。
本研究成果は、2022年3月1日に、国際学術誌「TROPICS」に掲載されました。
【DOI】https://doi.org/10.3759/tropics.MS21-14
Bibian Diway, Yasuo Yasui, Hideki Innan, Yayoi Takeuchi (2022). New locality and bud growth of the world biggest flower, Rafflesia tuan-mudae, in Naha Jaley, Sarawak, Malaysia. Tropics, 30(4), 71-82.