藤森真一郎 工学研究科准教授は、立命館大学、森林研究・整備機構森林総合研究所、国立環境研究所と共同で、自然保護・再生と食料システムへの変革に向けた様々な取り組みが、世界の生物多様性に与える影響を評価し、その結果、世界規模で自然保護区の拡張や劣化した土地の再生等の自然保護・再生への取り組みを拡大すると同時に、食料システムの変革に関わる取り組み(作物収量の向上、食品ロス削減、食肉消費量の削減)を行うことにより、将来において生物多様性の損失を抑え、回復へと導ける可能性があることを明らかにしました。
生物多様性の保全に関する様々な国際的な目標が掲げられている一方で、生物多様性は低下の一途をたどっています。さらに、今後の人口増加、食の多様化、食肉需要の増加など土地ニーズの増加を考えるとその傾向はより強くなることが懸念されます。本研究では、国際的に使われている複数の統合評価モデルと生物多様性モデルを用い、自然保護・再生と食料システムの変革に向けた取り組みの実施程度を変えた複数の将来シナリオ下で9つの生物多様性指標の変化を世界規模で比較しました。その結果、自然保護・再生と食料システムの変革に関わる様々な取り組みを同時に実施した場合、2050年までの世界の生物多様性の損失を抑制し、さらには回復へと導く可能性があることが、世界で初めて示されました。
本研究成果は、2020年9月10日に、国際学術誌「Nature」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41586-020-2705-y
David Leclère et al. (2020). Bending the curve of terrestrial biodiversity needs an integrated strategy. Nature, 585(7826), 551-556.