杉山暁史 生存圏研究所 准教授、奥谷芙季 農学研究科 修士課程学生、濱本昌一郎 東京大学 准教授、青木裕一 東北大学 助教らの研究グループは、シミュレーションと根箱栽培による実証試験により、ダイズ根から分泌されるダイゼインが根から数ミリの限られた土壌領域に留まることを明らかにしました。
さらに、植物の根から影響を受ける土壌領域である根圏と同程度の濃度でダイゼインを人工的に与えた土壌は、実際の圃場(農作物を栽培する場所)で栽培しているダイズの根圏と共通する微生物が増加し、ダイズ根圏微生物叢に近づくことを明らかにしました。
根圏でのダイゼインは生育期間を通してほぼ同濃度で維持されますが、ダイゼインは根粒形成だけでなく、生育に重要な役割を担う根圏微生物叢の形成にも機能するために、生育期間を通してダイズ根から分泌されることが示唆されます。
本研究成果は、微生物資材とダイゼインのような植物特化代謝物を活用して根圏微生物叢を調節し、持続可能な農業を実現するために活用されることが期待されます。
本研究成果は、2019年12月24日に、国際学術誌「Plant Cell & Environment」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1111/pce.13708
【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/250815
Fuki Okutani, Shoichiro Hamamoto, Yuichi Aoki, Masaru Nakayasu, Naoto Nihei, Taku Nishimura, Kazufumi Yazaki, Akifumi Sugiyama (2019). Rhizosphere modelling reveals spatiotemporal distribution of daidzein shaping soybean rhizosphere bacterial community. Plant, Cell & Environment, 43(4), 1036-1046.