数理モデルにより感染症伝播を解析 -サンタクロースが病気になると、何が起こるのか-

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古瀬祐気 ウイルス・再生医科学研究所 特定助教は、サンタクロースがクリスマスイブに感染症にかかっていた場合、どれだけの人が病気をうつされるのか差分方程式を用いた数理モデルによって解析しました。

本研究では、サンタクロースが子どもたちに病気(インフルエンザと麻疹)をうつす確率を記述し、さらにその結果としてどれほどの被害が人口全体に生じるかをシミュレーションによって解析しました。

解析の結果、インフルエンザについては、サンタクロースと子どもたちとの間での感染伝播効率が「通常の大人から子どもへ病気がうつる確率と同じ」である場合には、流行規模が12%増大することが分かりました。一方で、前者が後者の1%である場合には、流行規模は増大しませんでした。また、麻疹については、前者と後者が同じ確率である場合、100%の確率で大規模な流行が起こりました。一方で、同じく1%の場合には通常の大人によって流行が引き起こされる確率とほぼ同じでした。

本研究は、感染症のアウトブレイク(通常発生するレベル以上の感染症の増加)を引き起こすスーパー・スプレッディング・イベント(一人一人の感染者の感染力はそこまで強くなくても、一部の少ない感染者が例外的に多くの人に病気をうつしてしまうこと)の影響が、どの程度であるのかを数理モデルによって示したことで、実際の状況にも還元しうる科学的知見です。

本研究成果は、2019年12月9日に、国際学術誌「Medical Journal of Australia」に掲載されました。

図:本研究のイメージ図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.5694/mja2.50420

Yuki Furuse (2019). What would happen if Santa Claus was sick? His impact on communicable disease transmission. Medical Journal of Australia, 211(11), 523-524.

  • 読売新聞(12月25日夕刊 10面)に掲載されました。