椛島健治 医学研究科教授、江川形平 同助教、小野さち子 医学研究科・日本学術振興会特別研究員らの研究グループは、炎症のない状態の血管から皮膚への抗体移行のメカニズムはカベオラによる小胞輸送を利用し、チロシンキナーゼのひとつであるAblファミリーチロシンキナーゼにより制御されること、Ablファミリーチロシンキナーゼ阻害薬は皮膚への抗体移行を阻害し疾患モデルマウスの症状を抑制しうることを見出しました。
皮膚科には、自己免疫性水疱症という皮膚に水ぶくれを生じる病気の一群があります。これらは、皮膚の接着分子などに自己抗体が産生され、血中を循環し、皮膚へ沈着することで発症します。しかし、自己抗体の産生や、血中から組織への抗体移行の詳細な機序は解明されていませんでした。
本研究成果は、自己免疫疾患に対し、血管壁をターゲットとするという新たな視点での治療法の可能性を提供すると期待されます。
本研究成果は、2019年9月30日に、国際学術誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41467-019-12232-3
【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/244337
Sachiko Ono, Gyohei Egawa, Takashi Nomura, Akihiko Kitoh, Teruki Dainichi, Atsushi Otsuka, Saeko Nakajima, Masayuki Amagai, Fumi Matsumoto, Mami Yamamoto, Yoshiaki Kubota, Toshiyuki Takai, Tetsuya Honda & Kenji Kabashima (2019). Abl family tyrosine kinases govern IgG extravasation in the skin in a murine pemphigus model. Nature Communications, 10:4432.