琵琶湖の重要水産魚種「ホンモロコ」の産卵環境を科学的に解明―産卵に配慮した湖の水位操作によるホンモロコの資源回復に期待―

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 甲斐嘉晃 フィールド科学教育研究センター准教授、香田万里 近畿大学博士前期課程学生、髙作圭汰 同博士後期課程学生、亀甲武志 同准教授、石崎大介 滋賀県水産試験場主査(研究当時)らの研究グループは、琵琶湖の重要水産魚種であるコイ科魚類のホンモロコが、琵琶湖沿岸で産卵を行う際に、ヤナギの根が繁茂した水深が浅く波当たりの良い場所を選択して産卵していることを科学的に解明しました。本研究成果は、ホンモロコの保護を行う際に極めて重要である詳細な産卵環境を科学的に明らかにしたもので、今後、産卵に配慮した琵琶湖の水位操作において資源回復に貢献することが期待されます。

 本研究成果は、2025年4月17日に、国際学術誌「Fisheries Science」にオンライン掲載されました。

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琵琶湖の重要水産魚種ホンモロコ(左)、ヤナギの根に産み付けられたホンモロコの卵(右)
研究者のコメント
「学生たちが、ホンモロコの産卵環境を詳しく調べてくれたおかげで、ホンモロコがどのような場所を産卵場所として選択するのかを明らかにすることができました。本研究からホンモロコは琵琶湖沿岸のヤナギの根が繁茂する、水深が浅い、流れが速い場所を好んで産卵することがわかりました。ホンモロコの産卵盛期である5月から6月は琵琶湖の水位を低下する操作が行われています。ホンモロコは水深の浅い場所を選択して産卵することが示されたので、水位が低下すると卵が干出して死亡する可能性が示唆されました。そのためホンモロコの産卵時期は水位を一定に維持することが重要であると考えられます。現在、琵琶湖のホンモロコ資源は回復傾向にあります。ホンモロコはとても美味しい魚ですので、ぜひ皆さんにもっと食べてほしいと思います。」(亀甲武志)
研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1007/s12562-025-01874-6

【書誌情報】
Banri Koda, Keita Takasaku, Daisuke Ishizaki, Yoshiaki Kai, Takeshi Kikko (2025). Spawning habitat selectivity of Honmoroko (Gnathopogon caerulescens) around the emergent vegetation zone of Lake Biwa, central Japan. Fisheries Science