海老原祐輔 生存圏研究所准教授、三津間康幸 筑波大学助教、早川尚志 大阪大学・日本学術振興会特別研究員(兼・英国科学技術施設研究会議・ラザフォード・アップルトン研究所客員研究員)、三宅芙沙 名古屋大学准教授の研究グループは、紀元前8世紀から紀元前7世紀に楔形文字、アッカド語で粘土板に記されたアッシリア(現・イラク北部)占星術レポートを解析し、近代観測との比較検討の上で、オーロラ様現象の記録を3点同定しました。
本研究グループは大英博物館に所蔵される粘土板の模写、楔形文字の翻字、英訳を行い、これらの記録をおよそ紀元前680年~紀元前650年のものと位置付けました。これらは従来知られていた最古のオーロラ記録より100年前後古いものです。
本研究は、オーロラおよび太陽活動記録の歴史を100年前後更新しただけでなく、紀元前660年頃における、イラクのような低緯度地域でオーロラが見えるほどの高い太陽活動レベルを強く示唆する証拠を提供するものであり、これは今後の極端宇宙天気現象研究の重要な基礎データとなります。
本研究成果は、2019年10月7日に、国際学術誌「The Astrophysical Journal Letters」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.3847/2041-8213/ab42e4
Hisashi Hayakawa, Yasuyuki Mitsuma, Yusuke Ebihara and Fusa Miyake (2019). The Earliest Candidates of Auroral Observations in Assyrian Astrological Reports: Insights on Solar Activity around 660 BCE. The Astrophysical Journal Letters, 884(1):L18.
- 朝日新聞(10月12日 31面)、日刊工業新聞(10月17日 29面)および読売新聞(10月13日 33面)に掲載されました。