ボルネオ島から半地中性トカゲの新種を発見 -熱帯雨林の林床の小型爬虫類の多様性と保護の必要性-

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福山伊吹 人間・環境学研究科 修士課程学生、疋田努 名誉教授、西川完途 地球環境学堂 准教授(兼・人間・環境学研究科准教授)らの研究グループは、マレーシアのボルネオ島から同島から2個体目の記録となるラルティアトカゲ属( Larutia )の一種を採集し、その個体の形態的、遺伝的な特徴を調査した結果、これまで知られている同属の全ての種と異なる特徴を持つ未記載種であることを明らかにしました。この種は他の種と比べて体が小さいことから、コガタラルティアトカゲ( Larutia kecil )として新種記載(命名)しました。

ボルネオ島から2種目のラルティアトカゲ属となる本種の発見は、熱帯雨林の林床に生息する小型爬虫類の多様性がこれまで過小評価されてきたことを示しています。これらの小型爬虫類は、哺乳類や鳥類などと比べると野生動物保護などで見過ごされがちですが、近年の東南アジア地域における熱帯雨林破壊の影響を大きく受けていることが想定されます。

今回、本種が見つかったペンリッセン山は保護区ではありませんが、この地域でしか見つかっていない爬虫両生類も多く、この地域固有の多くの生物の保全を進めていくためにも当地の保護が必要であると考えられます。

本研究成果は、2019年8月29日に、国際学術誌「Zootaxa」のオンライン版に掲載されました。

図:ボルネオ島から見つかった新種コガタラルティアトカゲ

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.11646/zootaxa.4661.3.6

IBUKI FUKUYAMA, TSUTOMU HIKIDA, MOHAMAD YAZID HOSSMAN, KANTO NISHIKAWA (2019). A new species of the genus Larutia (Squamata: Scincidae) from Gunung Penrissen, Sarawak, Borneo. Zootaxa, 4661(3), 522-532.

  • 読売新聞(9月28日 8面)に掲載されました。