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樋口裕美子 理学研究科博士課程学生、川北篤 東京大学教授は、シソ科ヤマハッカ属の草本ハクサンカメバヒキオコシの葉にみられる切れ込みが、ムツモンオトシブミによる葉の加工を妨げることを発見しました。
ムツモンオトシブミは、メスが産卵の際に、子のエサおよび住み処となる精巧な「揺籃」をつくるオトシブミ科の甲虫の一種です。ヤマハッカ属で葉に切れ込みのない別種と比較すると、メスはハクサンカメバヒキオコシの葉や、人為的に切れ込ませた葉を揺籃基質として好まないこと、卵を両種の葉で巻き直すとどちらの葉でも子供は同様に成長すること、加工する前に葉を調べるために行う歩行の段階で、ハクサンカメバヒキオコシの葉が忌避されていることがわかりました。
この歩行は規則的で、加工前に葉を測量する意味を持つと言われています。ハクサンカメバヒキオコシの葉では、切れ込みによって歩行が妨げられるため、メスは以降の加工を諦めることがわかりました。
本研究成果は、2019年9月3日に、国際学術誌「Nature Plants」のオンライン版に掲載されました。
詳しい研究内容について
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41477-019-0505-x
Yumiko Higuchi & Atsushi Kawakita (2019). Leaf shape deters plant processing by an herbivorous weevil. Nature Plants, 5(9), 959-964.