食物に無意識で感情を感じる脳内メカニズムを解明

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佐藤弥 こころの未来研究センター特定准教授らの研究グループは、食物に無意識で感情を感じる脳内メカニズムを解明しました。

食物への感情処理は、ヒトの生活において重要な役割を果たしています。心理学研究は、そうした食物への感情処理が、無意識のレベルでも起こることを示していました。しかし、そうした無意識レベルの食物への感情処理を実現する神経メカニズムは不明でした。

本研究グループは、日本人22人を対象として、無意識的にあるいは意識的に呈示された食物画像に対する脳活動をfMRI(磁気共鳴機能画像法)で計測しました。

その結果、無意識的と意識的のどちらの条件にも共通して、両側の扁桃体が食物画像に対して活動することが示されました。扁桃体は、脳内の感情中枢とされる部位です。意識的な条件のみで、新皮質の広い領域が食物画像に対して活動しました。扁桃体がどのような視覚経路で活動するか調べると、無意識的な条件では、皮質下の視覚経路のみで活動していました。意識的な食物処理では、皮質下と新皮質の両方の視覚経路によって活動していました。

本研究成果は、食物の無意識の感情処理が、皮質下経路でのすばやい視覚入力で起こる扁桃体の活動によって実現される可能性を示唆します。

本研究成果は、2019年5月13日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

図:視覚経路のモデル。無意識レベルで扁桃体は皮質下の視覚経路のみで活動した。

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41598-019-43733-2

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/241586

Wataru Sato, Takanori Kochiyama, Kazusa Minemoto, Reiko Sawada & Tohru Fushiki (2019). Amygdala activation during unconscious visual processing of food. Scientific Reports, 9:7277.