臨床ゲノム情報統合データベースMGeNDの整備と公開 -より正確で高度な個別化医療の実現に期待-

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奥野恭史 医学研究科教授、荒木通啓 同特定教授、鎌田真由美 同准教授、中津井雅彦 同特定准教授、小島諒介 同特定助教、溝上雅史 国立国際医療研究センター研究所ゲノム医科学プロジェクト長、徳永勝士 東京大学教授、加藤和人 大阪大学教授、小崎健次郎 慶應義塾大学教授らの研究グループは、疾患名・年齢・性別などの臨床データと遺伝子変異データとを統合的に扱うデータベース 「MGeND」 を整備し、2018年3月16日正午に公開しました。

研究者からのコメント

疾患の発症や進展、治療の奏功(効果の有無)には、遺伝子の変異や型が深く関わっている場合があります。臨床データと遺伝子変異データを結びつけて共有することにより、従来よりも正確かつ高度な個別化医療の実現が期待できます。日本人の臨床・遺伝子変異データを統合的に扱うMGeNDの構築は、ゲノム医療の実践、および促進に不可欠なものです。

概要

臨床データと遺伝子変異データとを結びつけて収集・公開するデータベースは、米国NIHが運営するClinVarなど、海外ではすでに運用が開始されています。また、小崎教授らの研究グループが開発中の、難病・希少疾患を対象とするデータベースDPVも、先行してデータの収集と公開を開始しています。しかし、疾患領域横断的かつ日本人の遺伝的特徴を反映したデータベースはこれまで提供されていませんでした。

今回、本研究グループは、DPVのノウハウを生かしMGeNDを開発しました。先行するデータベースに蓄積されつつある情報も活用しつつ、日本国内の複数の疾患領域にまたがる医療機関から臨床・遺伝子変異データを収集し、日本人の特徴を反映したオープンアクセスのデータベースとして公開しました。また、MGeNDへ登録する臨床・遺伝子変異データの取り扱いについてのガイドラインを作成しました。

MGeNDの公開により、疾患を横断した包括的な臨床ゲノム情報の利活用及び研究プロジェクト間のデータシェアリングが実現します。データストレージにより臨床的意義が付与された遺伝子変異データの共有や、他の疾患領域との遺伝子変異の比較などが可能となり、より正確かつ高度な個別化医療(Precision Medicine)の実現が期待できます。

詳しい研究内容について