5年間の潜水調査で2011年津波後の海の生き物たちの回復が明らかに

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益田玲爾 フィールド科学教育研究センター准教授らは、気仙沼市舞根湾周辺の4地点で2011年5月から2ヶ月に1度の頻度で潜水調査を行い、津波から5年間の魚類および大型無脊椎動物の記録を解析することによって、海の生物がどのように回復したかを明らかにしました。

本研究成果は、2016年12月13日午前4時に米国の科学誌「PLOS ONE」に掲載されました。

研究者からのコメント

2ヶ月に1回の調査は現在も継続しており、来年1月で35回目となります。2016年5月からは、環境DNA分析を用いた調査もとりいれて、潜水目視調査の至らぬ部分を補う展開を模索中です。潜水調査で訪れるたびに、海の生態系の回復力と、そこから糧を得ている人々の力強さに感銘を受けています。

概要

東日本大震災の津波は最大で40.4mの高さを記録しました。気仙沼周辺では、津波による土砂の堆積に加え石油の流出に伴う沿岸火災もあり、浅海に生息する生物には一時的に極めて生息しにくい環境となりました。

そこで本研究グループは、津波という大規模な撹乱の後に生物がどのように回復してきたかを確認するため、津波の2ヶ月後から「気仙沼舞根湾調査」の一環として本格的な沿岸生態系調査にとりかかりました。以後2ヶ月に1回の定例調査を継続しており、津波から5年間の記録を解析したところ、魚の個体数および種類数は2年程度で安定していますが、総重量は徐々に増えて5年後に最大となったことが分かりました。また、津波後2年目から3年目にかけて、これまで宮城県で記録のなかった熱帯性の魚種がいくつか見つかりました。

図:シロメバルの群れが復活。2014年7月

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0168261

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/217599

Reiji Masuda, Makoto Hatakeyama, Katsuhide Yokoyama, Masaru Tanaka. (2016). Recovery of Coastal Fauna after the 2011 Tsunami in Japan as Determined by Bimonthly Underwater Visual Censuses Conducted over Five Years. PLOS ONE, 11(12): e0168261.

  • 毎日新聞(12月14日 24面)に掲載されました。