江口浩一 工学研究科教授らの研究グループは、ノリタケカンパニーリミテド、三井化学、トクヤマとの共同研究により、アンモニアを直接燃料とした固体酸化物形燃料電池(SOFC)で、世界最高レベル(200Wクラス)の発電に成功しました。
この技術の詳細は、2015年7月26日~31日までの間にスコットランド・グラスゴーで開催されるECS conference on Electrochemical Energy Conversion & Storage with SOFC-XIVで展示発表されます。
研究者からのコメント
アンモニアは将来のエネルギーキャリアとして注目されており、今回、直接燃料電池に供給して高効率な発電が可能なことを示すことができました。今後、より大きな出力の燃料電池スタックに適用して、アンモニアのエネルギーキャリアおよび燃料としての有効性と、アンモニア燃料電池の将来性をより明確にしていく予定です。
概要
アンモニアは炭素を含まず水素の割合が多い水素キャリアとして注目されていて、発電用燃料としての利用に期待が高まっています。その理由としてアンモニアを燃料として発電しても主に水と窒素しか排出しないことから、通常の化石燃料である炭化水素を利用した燃料電池に比較し、二酸化炭素排出量の削減効果が大きいことがあげられます。
今回の技術はアンモニア燃料電池単セルを積層した200WクラスのSOFCスタックへ直接アンモニアを供給し、発電するものです。アンモニア燃料に適用するための各種部材を選定し、アンモニア燃料専用の新規SOFCスタックを開発しました。これにより、従来アンモニア燃料は、部材の接合部からリークすると、配管部が腐食するなどの課題がありましたが、アンモニア燃料をリークなく封止できる特殊なガラスを開発し、アンモニア燃料を直接供給しても、高い発電能力を有するスタックを実現しました。
開発したアンモニア燃料電池スタック(右上はアンモニア燃料電池用セル、右下はアンモニア燃料電池用封止ガラス)
詳しい研究内容について
- 京都新聞(7月23日 25面)、中日新聞(7月23日 3面)および日本経済新聞(7月27日 13面、2016年7月4日 13面)に掲載されました。