エマニュエル・マナロ 教育学研究科教授は、テオ ヴァンリーウウェン 博士(トゥウェンテ大学)、ジャン ヴァンデルメイジ 博士(同大学)と行った共同研究で、人がより抽象的な図形に取り組む時、より高い脳活動があることを示す証拠を得ました。抽象的な図について考える際に伴う高次精神活動への負荷にかかわる(脳)神経学的基盤について示すものであり、我々の脳は、グラフのようなより抽象的な図を処理することはより難しいということがいえます。
本研究成果は最近学術誌「Mind, Brain, and Education」に掲載されました。
研究者からのコメント
教師と研究者が、学生が効果的に図形を使えるようにする方法を創造することは重要です。ただ「図形を使うべき」と言うだけでは十分ではありません。学生が問題解決やコミュニケーションにおいて図形を理解したり使用する際に接しうる困難を乗り越えられるよう、我々は具体的で実践的な方法を見つける必要があります。
概要
イラスト、図、表、グラフ、その他の形の視覚表示、といった図形は、一般的には情報の伝達において単語や文章より効率的と考えられています。以前の研究では、問題解決において使用しなければならない図形がより抽象的な時は、学生の多くがグラフや表といった図形を使わない傾向にあることを示しています。同じように、学生は文章と図形の両方が含まれたページを読む時は、より抽象的な図形を無視する傾向にあります。
本研究グループは、学生に同じ情報に対して異なった表現(絵/イラスト、数式、表、グラフ)を見せ、結果として生じる学生の脳内活動を計測しました。学生たちは、見せられた情報の中の細部の量(つまり見せられた象形の中で最も抽象的な部分)をコントロールするため、差し引く方法を使っていました。見せた表現の中で最も抽象的だったグラフを見ている時、学生の脳内活動ははるかに高くなることが認められました。
行Aは学生参加者に見せた情報の例を表しており、行Bは呼応したP3bセグメントの脳活動(脳電図EEGの記録)を表している。
詳しい研究内容について
書誌情報
[DOI] http://dx.doi.org/10.1111/mbe.12064
Theo H. van Leeuwen, Emmanuel Manalo and Jan van der Meij
"Electroencephalogram Recordings Indicate That More Abstract Diagrams Need More Mental Resources to Process"
Mind, Brain, and Education Volume 9, Issue 1, pages 19–28, March 2015