京都大学久能賞の令和5年度授賞式・報告会を、2024年1月17日に、百周年時計台記念館にて行いました。令和5年度は、金藤栞さん(農学研究科修士2年生)と石田早侑梨さん(農学部4年生)の2名が受賞しました。
本賞は、本学OGの久能和子氏、祐子氏のお母様である久能悠子氏からの寄附により、科学・技術分野において自ら定めた独創的な夢を持つ意欲のある女子学生を支援することを目的として設立されたものです。
式では、稲垣恭子 理事・副学長より「悠子様のご趣意を踏まえまして、京都大学としましても、今後も久能賞が継続できるように努めてまいります」との開会挨拶に続いて、「本賞の趣旨にふさわしい夢と志を持った受賞者を選考することができ、加えて、社会への貢献度についても評価されました。今回、受賞されたお二人の学生や本日ご出席いただいているこれまで受賞された学生の皆さんにも、今後のご活躍を期待しています」との講評がありました。
表彰状および目録授与の後、受賞者より、受賞に至った自らの夢についての発表がありました。金藤さんは「この度は、大変栄誉ある久能賞をいただきありがとうございます。私は農業害虫の生態を調べており、自然界で働いている「種間のバランスを保つ仕組み」を科学的に解明して農業に取り入れることを目標としています。合成農薬に依存しない害虫防除手段を開発し、持続可能な農業の実現に貢献したいです。久能様および、選考に携わっていただいた皆様に心より感謝申し上げます」と話しました。石田さんは「今回の受賞にあたり、私の志をご支援いただけることに感謝と責任を感じています。全ての人がより良く土壌を使える世界の土台作りを通し、人間がこの地球で食い続けていける可能性を少しでも上げることが私の目標です。土壌資源の現状に触れた時の初心を忘れず、これからも目標に向かって歩み続けていきたいと思います」と話しました。
その後、令和4年度受賞者2名から、今年度の成果、活躍について報告がありました。坂内佳永さん(医学部(人間健康科学科)4年生)は「韓国の延世大学の学生との交流や、卒業研究への取り組みを経て、学びの多い1年間を過ごすことができました。今後も真摯に努力を積み重ね、自分自身の夢や憧れをも超えられるよう、さらなる高みへと挑戦したいです」と話しました。松野ななさん(理学部4年生)は「「宇宙の全てを自分の手の中で再現する」という夢に向かって確実な一歩を踏み出せた一年でした。現在、宇宙で一番大きい天体である「銀河団」に関する研究を行っており、新規コード開発に励んでいます。さらに、天文アウトリーチ学生団体「あすちか」を立ち上げ、地元の小学校で天文教室を開催しました」と話しました。
また、今年度は、コロナ禍のため授賞式および報告会の開催が叶わなかった期間の受賞者を招き、代表して令和元年度受賞者の菊池美帆さんより「在学時、名誉ある賞を頂きましたこと、深く感謝申し上げます。現在、建設コンサルタント会社に就職し、在学時の研究を生かし、夢に向かって、やりがいをもって働いています」との状況報告と、受賞者2名へのお祝いの言葉がありました。
最後に、来賓の橋寺由紀子 株式会社フェニクシー代表取締役社長より「皆さんの発表、報告を聞き感銘を受けました。長い人生では足踏みすることもあると思いますが、自身で決断する力を持ち、色々な人と交流し、常に明るく前向きに歩んでいただきたい」と受賞者に向けての温かい励ましの言葉がありました。