ターゲット
公開日
今回の京都大学未来フォーラムは、医学部卒業生の岡田尊司 岡田クリニック院長を講師に迎え、百周年時計台記念館において開催しました。
「現代人はなぜ不幸なのか-医学モデルから愛着モデルへ」と題した講演の中で岡田院長は、京都医療少年院で20年ほど臨床に携わった経験などから、症状を引き起こしている病気を診断し治療する従来の医療モデルではうまくいかないケースが増えており、問題の改善には愛着モデルという新たなアプローチが有効であることを、事例を交えながら説明しました。愛着とは心理的なものを超えた生物学的な絆で、すべての対人関係の拠り所となっており、オキシトシンというホルモンが関わっていることを解説し、愛着アプローチでは患者本人以上に親やパートナーなど関係者が「安全基地」となるよう働きかけることを重視し、そのためには人間だけに発達してきた「振り返る力」と「共感」がカギを握ると話しました。さらに、愛着は互恵的な仕組みで、自分が安全基地になることでも、安全基地を手に入れることができ、努力すれば自分も幸せになれると語りました。
参加者からは、「ずっと読んできた本の先生の話をきけて、大変嬉しかったです」、「自分自身の葛藤と照らしあわせてきくことができました」、「近代化と経済発展が命の根っこを削っていないか?というところが講演タイトルとぴちっと合ってゾクゾクしました」などの感想が寄せられました。