第25代総長 松本 紘
本日ここに、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻博士後期課程開設記念式典を挙行するに当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。
京都大学での医療専門職養成の歴史は、明治32年に設置された京都帝国大学医科大学附属病院看護婦見習講習科に始まります。いくつかの変遷の後、昭和50年に(本日ご列席いただいております)岡本道雄先生を初代学長として医療技術短期大学部が開学し、約4千名の優れた医療技術者を世に送り出し、最後の学生が卒業した平成19年3月をもって、32年の歴史に幕を降ろしました。
この医療技術短期大学部を母体として、こころとからだの健康を追求する「健康科学」を学問として発展させ、豊かな保健・医療・福祉社会を実現するため、平成15年10月に医学部保健学科が設置されました。これまでに2期257名の卒業生が巣立ち、医療の現場で活躍し、あるいは大学院生として研究に励んでおります。
平成19年4月には医学研究科人間健康科学系専攻修士課程が開設されました。当時保健学科は1期生が入学して3年という学年進行の途中でありましたが、保健・医療・福祉の現場に根ざした研究の推進と高い臨床実践能力を持った人材育成の重要性・緊急性を訴え、関係各位のご理解、ご助力を頂戴して学年進行より1年早い新専攻設置が実現し、本年3月には第1期大学院生34名に修士の学位が授与されました。また、平成20年4月には医学部保健学科は医学部人間健康科学科と改称いたしました。そして今年度博士後期課程がスタートし、医学研究科の中の1専攻としての体制を整えることができました。
普段の生活の中で人々の健康を増進し、疾病を予防し、活き活きとした人生を支えることも重要な使命です。そのためにも、広い視野と高い専門性、包括的な管理能力を併せ持った医療専門職が不可欠であり、また一専攻、一研究科の枠にとどまらず、他の学問分野や公的機関、企業の方々などと連携して研究を推進することも重要です。
本日ご列席いただいております皆様の更なるご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶といたします。
ありがとうございました。