第25代総長 松本 紘
京都大学総長の松本でございます。
本日、関西学士会開設記念企画「大学の本領」開催にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
学士会は旧七帝大のOB組織であり、今まで横糸を紡ぐ様々な取り組みを行ってこられました。しかし、関西に活動拠点を置く私たちにとっては、なかなか参加しづらく、またその姿も見えにくいものでした。
今回、私たちの思いにお応えいただき、この関西の地に「関西学士会」を開設されることになりましたことは、大変力強い味方を得たとの思いであり、望外の喜びであります。本企画に大変多くの方のご参加をいただいたことは、関西学士会への期待の大きさを示しているものと思います。
本日、この開設記念として企画されましたシンポジウムでは、西日本に拠点を置く3大学の関係者が集い、主に「人材育成」をテーマに日頃の考えや思いを出し合うことになっております。未曾有の大不況が日本列島だけでなく全世界を覆っている今だからこそ、大学が明確な意志を持って国際社会に貢献する人材を輩出しなければならないと思っています。
また、大学院生の研究者としての進路も大きな問題となっております。いわゆるポスドク問題ですが、大学全体に閉塞感が漂っているように感じます。そういった中で、昨年は京都大学にとって大変うれしいことがありました。益川敏英 本学名誉教授がノーベル物理学賞を受賞されたことです。小林誠 高エネルギー加速器研究機構名誉教授とともに、お二人が京都大学理学部助手時代に共同発表されました「小林・益川理論」に対する受賞です。これは、京都大学が基礎研究を大事にしてきた証であり、研究者への道を目指すものにとって大変勇気づけられた出来事でした。
現在、京都大学では、研究者になりたいという思いに応えるべく、若手研究者を支援する「白眉プロジェクト」を検討しているところです。これは、「白眉」と呼びうる優秀な若手研究者を確保し、次世代研究者として育成するプログラムです。希望に燃えて京都大学で研究活動を続けている学生が挫折を味わうことのないよう、環境を整える努力を続けていきたいと考えています。その他、京都大学として取り組んでおりますことなど、後ほどお話ししたいと思っています。
今回、京都大学からは理事・副学長を始め多くの教職員が参加しております。本学への注文・ご意見、何でも結構ですので、この機会にお気軽にお声をかけていただき、皆様方と交流が出来れば大変ありがたいことと思っております。どうぞよろしくお願いします。
3月という忙しい時期に、また日曜日にもかかわらずご参加いただいた皆様にとって、有意義な1日となりますことを祈念して、私の挨拶といたします。
どうもありがとうございました。