第46回全国大学保健管理研究集会の開催にあたり、当番校の京都大学の代表者として、また本年10月1日付で就任いたしました社団法人・全国大学保健管理協会の会長としてご挨拶申し上げます。
日本の各地より多くの方々に京都にお越しいただき、ありがとうございます。また文部科学省からは高等教育局学生支援課長の下間康行様、独立行政法人・日本学生支援機構理事長の北原保雄先生にご臨席いただいてこの会を開くことが出来ましたこと、大変うれしく思います。
研究集会がスタートしたのは昭和38年、全国大学保健管理協会が設立されたのは昭和39年です。この研究集会のために協会がつくられたような感じです。当初から文部省には積極的に支援していただいてまいりました。国の行政改革によって文部科学省の直接支援から独立行政法人・日本学生支援機構が協会と一緒に開催する形になり、文部科学省との距離が少し遠くなった感じもしますが、しかし現在でも、施策の面で国との連携が不可欠と考えております。
大学の主要構成員である学生に対する心身の支援、その学生を導く教職員の健康を守ることは、高等教育や学術研究の基盤となるものであり、廣中レポートでも強く謳われたように、決しておろそかにしてはいけないものです。経営効率化のもとで人的・経済的・制度的手当が後回しではいけません。何か起きたときには、それに対して急いで対応がなされるものの、未だ起きざるがこの先起きることが予想される出来事、長期的視野に立った戦略的な保健管理体制は、黙っていてできるものではありません。
全国大学保健管理協会には全国の国公私立大学430校あまりが加入しています。大学によって名称は様々ですが、どこの大学でも保健管理施設の規模は小さく、保健師さん一人で頑張っておられるところも少なくありません。その割に感染症やメンタルヘルスから労働安全衛生まで、カバーする範囲は広く、相当高度な医学的・法律的知識が求められます。各大学の現場にいるものが孤軍奮闘しているだけでは、日常業務が立ち行かなくなってきています。
この研究集会はネットワークづくりの絶好の場です。通信が発達してきましたので、それぞれの大学に居ながらにしてある程度情報交換はできるのですが、やはり実際に会うことで互いの気心も知れ、微妙なニュアンスも伝わるものです。ぜひとも強固な保健管理人脈を築いていただきたいと思います。
この開会式のあとには、全国大学保健管理協会の前会長である尾池和夫先生に、「地震の予知と病気の予知」について講演していただきます。ご自身の経験も交えて、地震を通して健康を考える楽しいお話をお聞きできるものと思います。英国から来ていただいたワインレブ先生には、英国の大学保健管理事情をお話しいただきます。国内だけでなく、世界に窓を開いてみたいと思います。
最後になりますが、どうかこの2日間が皆様にとって有意義でありますよう、当番校としてお祈りいたしております。
なお、京都もよい季節になりましたので、研究集会が終わりましたら、時間の許す限り京都の秋をお楽しみください。