尾池 和夫
京都市地域結集型共同研究事業・京都大学ナノメディシン融合教育ユニット平成20年度活動成果報告会の開催にあたり、ご挨拶申し上げます。
本日、活動成果を報告する両事業は、ナノテクノロジーとライフサイエンス、並びに医学が融合して初めて実現できる「ナノメディシン」という新しい先端医工学領域において、一方は研究開発部門を担い、一方は人材育成部門を担うという、車の両輪に当たる関係にあるとお聞きしております。
本学に設置しているナノメディシン融合教育ユニットは、ナノメディシン分野に対する社会のニーズに応え発展を支える人材を育成するために、京都大学の大学院生と社会人の両者を対象として、先端医工学に関する融合領域の基礎教育を行うことを目的としているものであり、平成17年度に文部科学省の科学技術振興調整費の支援を受けて開設し、京都大学の部局を横断した組織として位置付け、既存の研究科・専攻という教育体系の枠組みを越えて、大学全体として運営しております。
平成19年度には、文部科学省の中間評価があり、「医工学融合分野の教育は、わが国の優れた工学、医学の基礎研究を医療に応用する上できわめて重要であるが、これに対し強いリーダーシップの下、大学全体として取り組み、豊富な教授陣により当初の計画が着実に進められ、所期の目標を十分に達成している」と、総合評価でA評価をいただきました。
本学では、本教育ユニットの実績を基盤にして、工学研究科では、医学研究科の協力も得て、生命・医工融合分野の、分野横断型連携教育プログラムを融合工学コースのひとつとして新設し、本年4月から大学院教育を開始しました。
また、学内の研究体制として、平成19年度に、京都大学における医工学研究の全学組織として「先端医工学研究ユニット」を設置し、文部科学省の平成18年度科学技術振興調整費により設立された「高次生体イメージング先端テクノハブ」の活動を支えております。
今後更に、これらの教育ユニットと研究ユニットの組織を統合発展させ、医工融合分野の教育研究を担う新専攻の設立を計画しています。
このように、医工融合分野の教育研究を通じて社会に貢献することは京都大学のミッションの一つであり、本学の研究者が中心となって進められている京都市地域結集型共同研究事業とナノメディシン融合教育ユニットの双方が順調に発展し、所期の目標を達成して成功に導かれることを私も大いに期待しております。
この間、関係各位のご支援、ご協力、さらに共同研究機関、京都大学の研究者、職員のご努力によって、両プロジェクトは順調に発展し、すでに数々の成果を挙げており、ご支援、ご協力いただいている学内外の皆様に深く感謝申し上げます。
本日発表される一年間の研究活動の成果が、「生涯健康な社会」の実現に向け、ここ京都の地における高度先端医療の発展の基盤となることを祈りつつ、私のご挨拶といたします。