尾池 和夫
本日は、京都大学総合博物館で明日から開催されます企画展、「火星の素顔 ―Mars Expressがとらえた3次元画像―」の内覧会に、多数の方々にお越しいただき、ありがとうございます。
今回のこの展覧会は、ヨーロッパ宇宙機関が初めて独自に、地球以外の太陽系の惑星に送った惑星探査機Mars Expressがとらえた画像を公開するものです。この惑星探査機に搭載されたのは、ドイツで開発された高解析度ステレオカメラ(High Resolution Stereo Camera 通称HRSC)です。それがとらえた火星表面の写真を3次元画像により一般に公開することを、この企画展は目的とするものであります。ドイツでは、既に 2004年12月からのボンでの開催を最初に、各地で開催され大きな反響を呼びました。
今年は、「日本におけるドイツ年」であります。1999年から2000年にかけて日本を幅広く紹介する行事として、ドイツ各地で開催され好評であったと聞いております「ドイツにおける日本年」に呼応する形で、昨年から今年にかけて日本各地でさまざまな催しが行われておりますが、「日本におけるドイツ年」の記念行事として、この展覧会を日本で最初に、京都大学で開催することが出来、大変嬉しく思っております。
京都大学とドイツとの関係は、非常に密接なものがあり、古くからの歴史もございます。総合博物館の前の東大路通を渡りまして、南へ約100メートルの所に、京都大学人文科学研究所がございます。現在の人文科学研究所は、1939年に設立された同名の旧研究所と、1938年設立の東方文化研究所、1946年設立の西洋文化研究所の3つの研究所が合体して、世界文化に関する人文科学の総合的研究を行うことを目的として、1949年に発足した研究所であります。
この中の西洋文化研究所の前身は、1934年に民間団体として設立されましたドイツ文化研究所であります。また、人文科学研究所「本館」に隣接して「西館」と呼ばれる建物がありますが、これは1983年に日独文化研究所(ゲーテ・インスティチュート)が移転した後の建物を利用しているものであります。
大学間の学術交流につきましても、1984年のベルリン自由大学との学術交流協定締結を始めとして、ミュンヘン大学・ボン大学・ハイデルベルク大学・フンボルト大学の各大学と大学間交流協定に基づき、活発な教育・研究交流を行っております。
その他、各研究科・研究所・センターにおきましても、ドイツ関係機関との交流を活発に行っております。今回の展覧会が、京都大学とドイツ航空宇宙研究所との友好関係は勿論のこと、ドイツと日本の友好の更なる発展の一助となることを願っております。
最後になりましたが、開催に際しまして、主体的に活動していただきました、大阪・神戸ドイツ総領事館、京都大学大学院理学研究科宇宙物理学教室並びに花山天文台の関係者の方々に深く感謝を申し上げ、私の挨拶といたします。
ありがとうございました。