尾池 和夫
11月22日
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第7回京都大学国際シンポジウム「地球・地域・人間の共生-野外科学の地平から-」に参加するため、タイ・バンコクへと出かけました。関西国際空港からタイの首都バンコクのドン・ムアン空港まで約6時間の旅でした。今回、京都大学からは、大学院生13名、アジア・アフリカ地域研究研究科、東南アジア研究所、防災研究所、農学研究科、情報学研究科、医学研究科、事務本部から教職員33名および私と妻と横山国際交流推進機構長が参加しました。
山田さん、荒井さん、市川さん、田中さんなど、京都大学のそうそうたる研究者群が乗った便でした。空港には今回の実行委員長である平松さんたちが出迎えてくれました。私にとっては16年ぶりのバンコクで、高層ビルと道路が増えて、たくさんのきれいな車が走っているのに驚きました。
11月23日
シンポジウムの1日目。このシンポジウムの英語タイトルは、"COEXISTENCE WITH NATURE IN A 'GLOCALIZING' WORLD - FIELD SCIENCE PERSPECTIVES - "です。世界がグローバル化する一方、地域や国の特色や事情、人類と自然の関係に目を向けることがより重要になってきています。 'GLOCALIZING'はそんな状況を捉えたキーワードなのでしょう。
シンポジウムの冒頭に、私がまず開会の挨拶をして、その後、今回ご協力いただいているタイ国立研究評議会、タマサート大学、カセサート大学からそれぞれ Ahnond Bunyaratvej 評議会事務局長、Surapon Nitikraipot 学長、Viroch Impithuksa 学長からもご挨拶をいただきました。また、各セッションにはチュラロンコン大学やチェンマイ大学などからも参加があり、昨年発生した津波災害の被害状況やその後の復興についてや、アジア地域の食の安全性、自然環境についてなど、幅広い議論が展開されました。
今回のタイ国訪問の機会に、京都大学とタマサート大学、京都大学とチュラロンコン大学の間で、それぞれ大学間学術交流協定を締結しました。
タマサート大学は、1933年に設立された王立総合大学です。写真のスカーフはタマサート大学の名前が入っています。黄色と赤がタマサート大学のカラーだそうです。
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チュラロンコン大学のKhunying Suchada Kiranandana学長は、東南アジア研究所の創立40周年を記念したビデオ・レターにも登場しました。同大学は1917年創立の、タイで最も歴史ある大学で、工学研究科、農学研究科、東南アジア研究所などの部局と、研究者の派遣や受け入れの実績があります。
これらの交流協定によって両大学との間にさらに活発な交流がなされることを期待します。
夜のレセプションでは、私がしているタイ・シルクのネクタイを例に、'GLOCALIZING'について話をしました。テーブルに日本では深山幽谷にしか見られない「サルオガセ」が生けてあり、チェンマイの山奥でこれを見かけた大学院生と話が弾みました。また、アフリカのフィールドで研究する大学院生たちからもぜひフィールドに来てみてほしいと招待いただきました。
11月24日
シンポジウム2日目には大学院生たちによるポスター発表がありました。アジアやアフリカなどの各地域を研究のフィールドとして、エネルギッシュに研究活動している両国の学生さんたちの仕事ぶりを見て、とても頼もしく感じました。
シンポジウムの合間に荒井 修亮助教授の案内で、情報学研究科の知識基盤COEタイ拠点を見学しました。ここでの研究成果は、以前私の学位授与式の式辞にも登場しましたが、ウミガメの調査やジュゴンの調査が、やがては日本の生体の保護にも大きく役立つ日が来るのを、私も期待しています。
荒井 修亮助教授の研究について
『紅萠 第6号 巨大魚メコンオオナマズの行動と生態を探る』(PDF)
オフィスの近くにはタイ料理の店があり、糯米のご飯とナマズの料理を味わうことができたのも、うれしい経験でした。
シンポジウムの最後に人間文化研究機構機構長の石井 米雄先生の特別講義があり、若い研究者からも尊敬されている石井先生の話を直接聞くことができて、たいへん感銘を受けました。
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多くの参加を得たシンポジウムも終わり、市川アジア・アフリカ地域研究研究科長主催のFarewell Partyがホテルの中庭で開催されました。熱帯の木々のもと、シンポジウムの感想を語り合ったり、記念撮影をしたりと、和やかに時間は過ぎました。いろいろの国の研究者たちが参加していて、京都大学の地域研究の成果への賞賛する声を聞きました。
Farewell Partyのあと、東南アジア研究所のバンコク連絡事務所に移動しました。バンコクには、東南アジア研究所のバンコク連絡事務所、理学研究科のチュラロンコン大学KAGI21サテライト・オフィス、情報学研究科の知識基盤COEタイ拠点、フィールド科学教育研究センターのカセサート大学NaGISA研究センターの4つの拠点がありますが、特にこの東南アジア研究所のバンコク連絡事務所は1963年に設立された歴史ある拠点です。日本人の海外渡航がまだ珍しいころから、連絡事務所は東南アジア研究のフィールドワークの基地として活用されてきました。駐在員が暮らせる部屋のほか、学生が宿泊できる部屋があり、たくさんの図書なども整理されています。
これらの施設は、今後とも京都大学の重要な資産として、多くの人々が出会い、さまざまな情報が交換される場として、有効に活用されていくことでしょう。これらのオフィスには長い間お世話になっている得がたい人材がいて、研究者たちの面倒をみてくれています。また、現地には研究者たちに協力する企業や翻訳をしてくれる人材がいて、その方たちの協力があってこそ、京都大学の研究成果が生み出されるのだということも、よく理解できる訪問でした。
11月25日
せっかくバンコクへ来たので、やはりチャオプラヤ川の風景を見て帰ることにしました。平松先生にわざわざ空港まで見送っていただき、帰路に着きました。
フォトギャラリー
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