尾池 和夫
この「京大IIOフェア」は、企業の方々と京都大学の出会いの場です。シーズプレゼンテンーションで教員が企業との連携可能な研究シーズを紹介します。産学交流会では多数のポスター展示を行い、フェア参加の皆様とシーズ提供教員が直接相談できる場を提供します。
すでに9月29日には東京で開催し、たくさんの方々にご来場をいただきました。
2005年7月15日、文部科学省「大学知的財産本部事業」の中間評価で、本学の事業が「A」の評価をうけました。また、京都大学は、文部科学省の「スーパー産学官連携本部」に本学提出の事業が選ばれました。それまでの近年の経過をたどってみますと、
1996年 7月 ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー設置
2001年 4月 国際融合創造センター設置
2003年 9月 知的財産企画室設置
2003年12月 知的財産ポリシー制定
2004年 3月 産学連携ポリシー制定
2004年 4月 国立大学法人化
2004年11月 産学連携推進室設置
2005年 4月 国際イノベーション機構設置
2005年10月 スーパー連携室設置
というように進んできました。
昨年も申し上げましたが、世界の、とくに東アジアの状況をもしっかりと見据えながら、また、先行しているアメリカ合衆国や英国、中国などの諸国の経験も学びつつ、本日のような事業の開催も、21世紀型の産業が生まれる基盤作りにつながることと期待しています。
先日発表された、産業技術総合研究所の、ナノテク知識に関する市民の知識の調査結果によりますと、「ナノテクを見聞きしたか」という問いには、「頻繁に」と「時々」とを合わせて55%、期待度も「社会に非常に役立つ」と、「ある程度役立つ」を合わせて88%と、大変高い率でしたが、知識の中身を問うと、正解率は10ないし40%だったということです。このような傾向は、科学技術全般に関する内閣府の調査結果にも見られました。
産学連携を進めることの中に、大きく見るとこのような面に関連して市民教育の効果を上げるという役割も含まれていると、私は思っています。
またこの桂キャンパスでは、ご近所の京都市立芸術大学、国際日本文化研究センターと共同で、京都ネオ西山文化プロジェクト実行委員会ができており、24日からさまざまな催しを行うというような企画もあります。これも産学公民連携の一環として、ぜひ注目していただきたいと思っています。
今後とも京都大学は、今日のような催しを積極的に開催して社会との連携を深めて行きたいと思っています。その中で、基礎研究と応用研究とのバランスを取りながら、21世紀の人と地球の共存に目標をおいて、知的活動を続けていきます。
皆さま方の本日のご来場に感謝し、多くのシーズプレゼンテーション、ポスターなどによって、収穫を持ち帰って頂けることを期待しつつ、今後ともよろしくご支援とご協力をお願いして、私の挨拶といたします。
ありがとうございました。