霊長類研究所をたずねて (2004年7月28日)

尾池 和夫

 犬山市の霊長類研究所を、入倉理事と一緒に訪問しました。茂原所長ほかのみなさんと話したり、21世紀前半の地震活動の長期予測の話と、強振動研究の現状の話を、研究所のたくさんの方々に聞いていただいたり、大急ぎで見学をさせていただいたり、短い時間でしたが、たいへん充実した学習と情報交換の時間となりました。

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 この研究所では、フィールド・ワークも実験室での研究も行います。ヒトを含む霊長類の総合研究を行うのが、ここの特徴です。その研究所の生まれた歴史を、展示されている現物から感じることが出来ました。
 霊長類研究所は、ヒトを含む霊長類を研究します。「わたしたちは、どこから来たの?」と、先端研究拠点事業「HOPE」の国際会議の挨拶で、私もたずねたことがありました。人間の進化の起源を、霊長類を通して考えるこのプロジェクトも、この研究所が中心になって進められています。

 学習中のパンとパルの親子を、少しだけお邪魔して観察させてもらいましたが、どうやらこちらが観察されたようにも思います。また、私たちを無視して、子供にひたすら学習する姿を見せつづけるパンには、見習わなければならないものを感じました。

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 人類進化モデル研究センターは、実験研究用サル類の維持管理と供給を行うとともに、飼育や繁殖の研究を行うところです。野生のサルの生存をおびやかさない実験用サルの供給で研究の発展に貢献するという理念を持っています。
 動物福祉の課題に取り組むためにも、さらに広い場所の確保が当面の重要課題です。数百頭のサルを飼育するために、近い場所に主要な飼育場所を移転することを計画しています。
研究所から少し離れた土地に候補地があります。そこを私も見せていただきました。人と霊長類がどうつき合っていくかを考えるために、リサーチ・リソース・ステーションの実現を、私も心から願っています。

 研究所には職員の宿舎などもありますが、外国人研究者や国内共同研究者、多くの大学院生のための宿舎の問題など、研究のための支援の仕組みが重要です。法人化してこのような問題を独自に考えて解決する新しい方策はないだろうかという話し合いもしました。他の施設のためにもモデルケースとして、新しい考えと解決策を多くの関係者の知恵で見つけてほしいと思います。

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 隣接して、財団法人日本モンキーセンターがあります。「PRIMATES(A JOURNAL OF PRIMATOLOGY)」や「雑誌モンキー」を発行しているセンターです。所長は京都大学を停年退官されたばかりの西田 利貞先生です。国連環境計画の「大型類人猿生存計画」(GRASP)のために、重要な活動を進めておられます。このモンキーセンターの見学も含めて、もう一度、ゆっくり時間を用意して訪ねてみたいと思います。